2008-12-04

来年度予算 景気と雇用に目配りが肝要だ(12月4日付・読売社説)

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一律の歳出削減・抑制路線にこだわっていては国民の期待に応えられない――。来年度予算の編成に当たっては、こうした視点が欠かせまい。

 政府・与党が来年度予算編成の基本方針を決めた。公共事業関係費の3%削減などを盛り込んだ概算要求基準(シーリング)は維持するものの、景気や雇用対策のため、「機動的かつ弾力的に対応」することになった。

 その内容は今後詰めるが、特別枠などを設けて、予算を重点配分することになりそうだ。

 国内景気の落ち込みを見れば、財政面での一定の配慮は当然だ。財源が乏しいなかでどのようにメリハリをつけていくか。初の予算編成を指揮する麻生首相の指導力が問われることになる。

 来年度予算のシーリングが決まったのは今年7月末だ。当時は福田内閣で、すんなり閣議了解された。だが、世界的な金融危機による景気の悪化が予算をめぐる環境を一変させた。

 今月2日には、自民党が異例の方針を打ち出した。財政再建の方向を定めた2006年度の「骨太の方針」を3年程度凍結することなどで総務会が一致し、首相に伝えた。それがある程度、基本方針に反映された。

 その方針に沿って予算編成するなら、社会保障費の抑制の見直しが最優先だ。自然増を毎年2200億円ずつ抑制する仕組みだが、介護や医療の現場で人手不足を招くなど、問題が生じている。

 中小企業対策や雇用確保策の充実、削減が続いてきた政府開発援助(ODA)予算の増額も必要となろう。

 問題は財源である。景気低迷で税収は法人税を中心に大きく落ち込んでいる。今年度予算では約54兆円の税収を見込んだが、6~7兆円不足する見通しだ。

 この不足分は赤字国債の増発で穴埋めするしかあるまい。来年度予算についても同じ傾向が続くと見られ、国債発行額は2年連続で30兆円を超す可能性が高い。

 景気対策に伴う費用が計上されれば、財政赤字はさらに拡大することになろう。

 この結果、2011年度に国と地方の基礎的財政収支を黒字化するという政府の目標は、ほとんど達成不可能になる。目標年度の先送りなどを検討すべきだ。

 巨額な財政赤字を放置していいということではない。景気回復後の消費税引き上げなど、将来の財源確保の道筋を今から示しておくことが肝要だ。

2008年12月4日01時44分 読売新聞)

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