2008-12-15

外国人介護者:「先進地」台湾、在宅ケア7割依存 言葉の壁承知で雇用、欠かせぬ存在

:::引用:::

 介護労働者の国際移動が活発化している。欧米先進国やアジア新興国で、少子高齢化や女性の社会進出に伴う介護者不足が進んでいるためだ。日本も経 済連携協定(EPA)でインドネシアとフィリピンからの介護福祉士候補受け入れを決めた。ただ、定住には国内の資格取得など高いハードルが課され、本格的 な受け入れにつながるかは定まっていない。16万人余の外国人介護労働者が働く台湾で「ケア開国」の最前線を取材した。【有田浩子】

 台北市郊外の観光地「淡水」近くの新興住宅地。インドネシア人女性のスリ・インダルティさん(36)は、張明賢さん(72)の母親で5年前から寝たきりの爾阿珠さん(92)の世話をするため、張さん宅で9月から働き始めた。

 「『言葉が通じない外国人は素直』って仲介業者は言うけど、思い通りにいかないことも多い」。文句を並べる張さんの傍らで、スリさんは笑みを絶や さない。自国で4カ月の中国語研修を受けたものの、ほとんど意味が分からないのだ。「言葉の壁」を承知で張さんが雇用したのは賃金が台湾住民の半分強(月 額約5万5000円)で済むからだ。低・中所得層でも利用可能な金額だ。

 介護労働者の受け入れは92年から。高齢化の進展で増え続け、現在16万4000人。10年前の4倍だ。9割はスリさんのような住み込み。「ケア テイカー」と呼ばれ、食事介助などのほか、張さん宅の掃除、料理もこなす。在宅サービスのほぼ7割はスリさんら外国人が支えている。

 「ベトナム人は失踪(しっそう)が多いと聞くし、フィリピン人は日曜に教会へ行く」。思い込みの激しい張さんだが、一日も休みをとらずに働くイン ドネシア人を評価し、過去に2人雇用した。スリさんは3人目。高齢者となった張さん夫婦にとって、24時間母親を介護してくれるスリさんはもはや生活に欠 かせない存在だ。

 失業率が長期にわたり10%前後のインドネシアは国策で労働者を海外に送り出している。スリさんはシンガポールでも働いたが、母国に残した夫と 11、12歳の子ども2人の生活を支えるため、2倍以上の収入が得られる台湾に移った。「電話で子どもから『会いたい』と言われるとつらいが、ここでは毎 日が楽しい」。今の仕事にやりがいも感じている。

 ◇日本に3年で最大1000人

 日本は今夏、インドネシア人の介護福祉士候補104人を受け入れた。日本語研修を終えた来年1月末から全国で働き始める。来年も最大300人受け入れる。フィリピンからも09、10年に最大600人の介護福祉士候補を受け入れる予定だ。

 アジアは介護労働者の国際移動が最も活発な地域の一つ。送り出し国は、日本が受け入れる2カ国とベトナム、タイが主力で、受け入れ側は香港、台 湾、シンガポールなどが中心だ。ただ看護師と異なり、介護士は資格制度を持たない国も多く、仕事内容や呼称は異なる。受け入れ国の多くは外国人労働者の資 格や経験を問わないが、日本は自国での資格に加え、日本の国家資格取得まで求めるなど厳しい条件を課している。インドネシアは日本とのEPAを機に介護士 資格を創設した。各国は日本の動向を注目している。

 ◇需給マッチし加速--九州大学アジア総合政策センターの大野俊教授の話

 ケア労働者の国際移動は、高齢化が進む受け入れ国の人手不足、送り出し国の高失業率という需要と供給がマッチし、政府が積極的に関与することで加速している。

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 16~18日くらしナビ面で「ケア開国」を連載します。


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