制度悪用 タダ働き指摘も
外国人研修・技能実習生が県内で急増する中、受け入れ企業の賃金、残業代未払いなどのトラブルが絶えない。残業が禁止されている研修期間中に長時 間の残業をさせたり、労災に遭うと帰国させられたりと、外国人研修・技能実習制度の趣旨に反している上、法律違反も増えている。(南部さやか)
「パスポートは会社に取られ、金も住居も無く、死にたかった」。中国から2007年5月に来日し、研修生、技能実習生として広島市東区の建設会社 に所属していた男性(24)が、11月、県庁で記者会見し、残業が禁止されている研修生の期間中に、土日の休日出勤や長時間の残業を強いられたと訴えた。 未払いの残業代などの支払いを要求すると「中国に帰れ」と寮を追い出され、ストレスからか、大腸から出血して貧血状態が続いていたが病院にも行けなかった とした。
男性は労働組合「スクラムユニオン・ひろしま」(土屋信三委員長)に相談。同ユニオンは、男性の残業代を最低賃金を基に、研修生だった1年間だけ で少なくとも50万円に上ると試算し、会社などと団体交渉。会社が送別金として、30万円と中国までの航空運賃を支払うことになったという。
制度は、日本の技術を学んでもらう機会を設ける国際貢献のために設けられている。研修生として実務や日本語などを1年間学んだ後、雇用契約を結ぶ技能実習生として、最長2年間、日本に滞在することができる。
研修生は労働者とはみなされず、残業や休日出勤は認められないが、実際には残業や休日出勤を求められ、“タダ働き”させられるケースが多いと、土 屋委員長は指摘する。「単純労働を受け入れるだけの名ばかりの制度に成り下がっている。研修生の間も、残業時間は労働として働いた分の対価を支払うべ き」。
広島労働局によると、労働者として認められる技能実習生への残業代、賃金未払いなど労基法違反などで指導した件数は、県内で07年は66件あり、 06年の25件から大幅に増加。技能実習生からの申告件数も06年1件から07年は15件に。同法違反で書類送検した件数も、07年は1件だったが、今年 は11月末現在で3件にのぼる。
厚生労働省外国人研修推進室は「国際協力を目的としている制度で、賃金未払いはあってはならない。労基署など関係機関と連携して対応していく」とする。
こうした問題に詳しい、埼玉工業大の依光正哲教授(人口・労働)は「制度をきちんと管理、運用すれば、賃金未払いなどの問題は解消できるはず。熱心に取り組む企業もあるのだから、制度を悪用してはならない」と話している。
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