2008-12-12

金融津波の悪影響、 中国の外資銀は“スローダウン”

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先ごろ行われた公開市場操作関連の会議で、外資銀行の関係者が「最も困難な時期は過ぎ去った」と発言したという。ある中小銀行の資金業務担当者が11月24日に明らかにしたものだ。10月のような外資銀行の流動性がひっ迫した状況は緩和されるということかもしれない。

 しかし、外資銀行は次々と新たな問題に見舞われている。銀行業界の情報によると、上海では企業顧客が預金を外資銀から中国資本の銀行へ移す動きが 出ているという。「外資銀行は当面、さらに貸し付けを縮小してくるだろう」と、中国銀行業監督管理委員会(銀監会)の関係者は話している。外資銀はこれ以 前にも流動性管理のため、部分的に貸し付けを縮小している。

 このほか、中国の外資銀の利益率の低さも依然、問題となったままだ。前述の中小銀行の資金業務担当者は「預金業務の総合コストは一般に2%余りに 過ぎないが、外資銀が銀行間預金を受け入れる際のコストはこれを大幅に上回るため、外資銀の利ざやは非常に小さい」と話している。

 また、先の銀監会関係者は「これらの情勢から見て、来年は外資銀の中国での急速な業務拡張の動きに変化があるだろう」と予測している。

中国企業とは異なる外資系の対応

 また、この関係者は「現在、世界各地を襲っている金融危機も外資銀の拡張の動きに影響を与えている」と述べ、「外資銀行の中には、支店や営業所開設に慎重になったり、人材採用を厳しく抑制したり、コスト削減に努めると表明したりするところも出ている」と指摘する。統計データもまた、上海の外資法人銀行が市場シェアは伸ばしてはいるものの、資産規模の拡大ペースが鈍化していることを示している。2008年9月 末時点で、上海の外資法人銀行の外・内貨資産総額は8413億7600万元で、年初比14.15%増、全国の外資銀行資産に占める比率は60.59%だっ た。これに対し、全国規模の株式制商業銀行の同期の総資産は同15.33%増。都市商業銀行は16.36%増だった。

 2008年9月末時点で、上海市に登記している外資法人金融機関は17社(うち2社はグループ内企業に財務管理サービスを提供する財務公司で、こ の他にバンコク銀行(中国)有限公司、インドシナ銀行(東方匯利銀行、Banque de l’Indochine)、三井住友銀行(中国)有限公司が、現在設立準備中だ。

 上海にある中国資本銀行の中堅社員が11月24日に語ったところによると、外資銀行の拡張スピードが弱まったのは、主観的原因と客観的原因の両方が考えられるという。

 「主観的には、外資銀行は自分のことだけで手一杯で、海外の親会社が金融危機の影響を受けたため、まずは足元を固める必要に迫られた。中国の現地法人が拡張スピードを緩めるのは当然のことだ」と、この社員は指摘する。

 また彼は、今回の金融危機について、国外の金融機関や外資企業の方が、中国企業よりも深刻に受け止めていると言う。「例えば、ある外資企業は最近、人員を10%削減し、その後シフト制を取り入れ、給与も50%カットした」と紹介している。

 一方、外資銀行が拡張スピードを緩めた客観的原因は3つある。この社員によると、まず「資産拡張の資金源に問題が発生し、国内のコール市場から資 金を借り入れるのが困難になった」ことだという。海外の銀行機関や投資銀行が破たんしたことで、中国の銀行が交易対象の信用リスクを見直すようになり、外 資法人銀行のバックにある株主に注目するようになったからだ。次に、外資法人銀行の国外からの短期借入金が外債規制の影響を受けた上に、世界的な米ドル不足も影響している。

 第三に、「外資銀行は、より商業化が進んでいるため、業務がなければ、まず人員削減を考える」と彼は言う。外資銀行の人員削減は現在、二つの業務 部門に集中している。一つは住宅ローン業務で、住宅の取引量が減少したためだ。もう一つは財産管理部門で、デリバティブ取引の勢いに押され、財テク商品の 収益が芳しくなく、販売にも影響が出たせいだ。

 コストコントロールについても、「金融機関を含めた外資系機関は世界的に支出を抑制しており、例えば会議については、社内会議などはできるだけテ レビ会議、電話会議とし、出張で飛行機に乗る場合も、ファーストクラスからエコノミークラスに変更するなどの対応をしている」と彼は言う。

当面は貸し付け縮小か

 現在、外資法人銀行が直面している主なリスクは、外資銀行の流動性がひっ迫傾向にあることだ。

 先の銀監会関係者は「金融危機の影響で、上海の外資銀行は10月に、流動性がややひっ迫した。現在は、いくぶん緩和されたが、年末に向けて預金の 積み替えや他行への移管などの要素が懸念されるため、外資銀行の流動性ひっ迫状態は、まだ厳しさを増すだろう」と予測する。これは、外資銀行の業務内容が 単一的で、外資法人銀行の預貸率が高いことや、預金残高の伸びが緩慢になっていることなどと関連している。

 これまでも、外資銀行の親銀行が国際的金融危機の影響を受けたため、国内の銀行や金融機関は外資銀行相手のコールローンや預貸金について非常に慎重になっていた。まず、銀行間取引の限度額を縮小し、次に期限を短縮した。

 銀監会の関係者は「11月はやや状況が好転するものの、銀行を商業機関としてみた場合、まだ懸念は残る。それほど短期間に回復はしないだろう」と話す。

 銀監会の蒋定之副主席は、このほど開かれた「2008北京国際金融フォーラム」で、「われわれは銀行や金融機関のリスク防止とコントロールを強化し、積極的に金融危機に対処する」と表明した。

 注目すべきことに、蒋副会長が提案した8項目の措置のうち、2項目が外資銀行に向けたものだった。一つは、外資銀行について急きょ綿密な検査を実 施し、リスク・エクスポージャーを把握し、親銀行が金融危機の影響を受けた外資銀行のリスク評価とリスク警告を行う。もうひとつは、流動性ひっ迫に関する 緊急対応プランを作成し、流動性管理で問題が生じている外資銀行に対して、銀監会が、他部門と共同で救済策を実施するというものだ。

 銀監会が公表したデータによると、2008年9月末時点で、中国の外資銀行の資産総額は前年同期比25.4%増の1兆3866億2000万元、各 種貸付残高は同25.4%増の7865億2000万元、各種預金残高が、同58.8%増の5706億6000万元、1-9月の実質利益は112.7%増の 101億2000万元だった。

 管理指標から見れば、外資銀行の資本充足率は17.5%で、前年同期に比べ0.2ポイント上昇した。不良債権率は0.5%、不良債権に対する貸倒引当金比率は227.8%で、同38.3ポイント上昇、流動性比率は66.6%で、同9.8ポイント上昇した。

 ただし、銀監会が公表した9月のデータから推測して、中国の外資銀行の総体的預貸率(貸付残高/預金残高)は137.83%となり、外資銀行の預貸率が依然、高いことがわかる。

 まさにこの預貸率の高止まりのせいで流動性管理が必要となり、外資銀行は貸し付け業務の拡大を抑制せざるを得なかったのだ。

 中央銀行上海本部が発表した最新データによると、10月に上海の外資銀行の人民元貸付額は32億9000万元減少し、前年同期からの増減幅は 177億3000万元減(前年同期は144億4000万元増)となった。国内の中国資本機関向け短期貸付金と手形融資が31億4000万元減少したこと と、国内の外資機関向け短期貸付金が24億1000万元減少したことが主な原因だ。

 「当面、外資銀行が貸し付けを縮小するのは間違いない。まずは小企業向け融資を、次に融資承諾のペースを緩めるだろう」と、銀監会の関係者は話している。

 しかし、外資銀行も古くからの顧客へのサービスでは柔軟な対応をしているようだ。先の中国系銀行の中堅社員によると、例えば、顧客の貸出期日に外 資銀行が十分な人民元を準備できなかった場合、別の中国資本の銀行を紹介し、その銀行から顧客に融資をさせるなど新たな融資プランを作成する。自行はスタ ンドバイL/Cを発行するなどの方法で、その融資に担保を提供し、担保費のみを徴収する方法などをとる。または、外資銀行がアレンジャーとなってシンジ ケートローンを組成し、各行が分担して顧客の融資需要に対応することもある。

 とはいえ、「新規顧客やプロジェクトの受け入れは減少しており、たとえ優良顧客であっても無理に開拓しようとはしないだろう」と、この中堅社員は話している。

(陳昆才=21世紀経済報道、上海発)

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