2008-12-15

メイテック、派遣技術者に集合研修制度 「環境配慮設計は基礎スキル」

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技術者派遣大手のメイテックは、常用雇用している派遣技術者に対して「環境配慮設計」に関する集合研修を開始した。2年前から同分野の講座をeラーニング の一講座として開講していたが、集合研修方式による2日間(各6時間)の講座を開講し、より深い知識が得られる態勢にした。

 教育カリキュラムは、外部の環境関連研修機関が保有する教育コンテンツを派遣技術者向けにカスタマイズした。将来は、派遣先が決まるまでの待機時研修の必修講座への格上げ、全員に環境配慮設計の基礎を学べるeラーニング講座の受講義務づけなどを検討している。

 常用雇用型派遣のメイテックでは派遣先が決まっていない期間の給与も支払われる。同一企業の派遣期間は平均約3年。派遣先が変わるときの待機期間はスキルアップのために各種の研修を受ける。環境配慮設計を待機時研修で必修化し、派遣技術者の基礎スキルにする計画だ。

 講座は、どういう物質の環境負荷が大きいかなど材料に関する知識、リサイクル性を考慮して分解しやすい設計にするなど組み立ての手法、欧米での 環境規制の情報、などを幅広く学ぶ。社員教育を担当する柳沢智執行役員は、「大手製造業は、環境配慮設計マニュアルが整備されているが、すべての派遣先に 整備されているわけではない。設計技術者のスキルとしても環境配慮設計は重要」と講座拡充のねらいを話す。

 環境配慮設計マニュアルのない企業に派遣されるケースや技術者として独立する場合にも環境に配慮した設計の知識があることは強力な武器になる。このためキャリアサポートの一環として環境配慮設計についての知識取得を推奨していく。

 11月上旬に名古屋で初開催し、同下旬に大阪、今月13、14日に東京で開催する。定員は約30人だが予想以上に受講者が集まっており、3拠点 で受講者数は約100人になった。eラーニング講座の受講者数は累計で約300 人を超えたが、約6000人いる同社の派遣技術者の1割に満たないため、 来年度から地方拠点でも順次開講していく予定だ。

 次の派遣先が決まるまでの待機時以外はスキルアップのために勤務時間外に自主的に受講するのが同社の研修制度の特色。環境配慮設計の講座も他の各種講座と同様に受講費用は無料で、集合研修は土曜日、日曜日の休日に実施する。

 環境配慮設計講座については、ゆくゆくは入社3年以降で設計業務に携わるようになった受講者全員に受講してもらう意向で、「業務指示として受講させることも考えている」(柳沢執行役員)と話している。

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【予報図】

 ■派遣先を啓発する伝道師に

 製造業で環境に配慮した設計が注目され始めたのは2000年前後からだ。当初は、資源の有効活用を促進するために製品のリサイクル性に重点が置かれ、その後、材料そのものの環境負荷低減の推進へと対象の範囲が広がっている。

 01年4月に家電リサイクル法、05年1月から自動車リサイクル法が施行されたことが契機となり、環境配慮設計に対する意識が高まった。「家電製品や自動車のメーカーは環境配慮設計について先進的な企業が多い」(柳沢智メイテック執行役員)。

 メイテックの派遣技術者も環境配慮設計のマニュアルがある企業なら、その企業のマニュアル通りに設計していれば問題はない。ただ、派遣技術者は どのような企業に派遣されるか分からず、必ずしも環境配慮設計のマニュアルがある企業に派遣されるとはかぎらない。技術を磨いて独立するならなおさらのこ と、環境配慮設計に関する知識の取得が必須事項になる。

 環境配慮設計の講座を開講したのは、電機や自動車といった環境配慮設計の意識が高い企業に派遣されていた技術者からの提案がきっかけだった。環 境配慮設計の知識が豊富な派遣技術者が増えれば、同設計に対する意識が低い企業に派遣された場合でも、その企業に環境配慮設計の思想を普及させることがで きる。

 派遣技術者が「環境配慮設計」という意識を産業界に広める伝道師になる。(財川典男)
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