コンサルティング会社のFrost & Sullivanによると、不況というものがITのあらゆる分野に対して厄介な問題をもたらすというわけではなく、実際のところはある種の分野にとってチャンスをもたらすのだという。
Frost & SullivanのICT(情報通信技術)ディレクターであるAndrew Milroy氏によると、景気の不透明感が強まるとともに、コスト削減に焦点を当てた新たなビジネスが求められるようになり、そのことはIT企業にとって チャンスとなり得るのだという。同氏は現在の状況において需要が高くなりそうなテクノロジ分野やサービス分野を4つ挙げている。すなわち:(1)持続可能 なIT、(2)アウトソーシングサービス、ホスティングサービス、マネージドサービス、(3)情報管理ツール、(4)企業の買収や合併をサポートするサー ビスである。
Frost & Sullivanが「ICT Opportunities in an Economic Downturn(不況におけるICTのチャンス)」というレポートにおいて行った予測によると、減量経営が進むと、エコ実績の向上だけではなくコスト削 減に結びつくという理由で、持続可能なテクノロジのイニシアチブ(仮想化やビデオ会議、シンクライアント、消費電力のモデリングなど)に対する投資が増加 するという。
同レポートには、オーストラリアの企業を対象とした最近の調査において、90%の企業が自社のICTインフラの持続可能性に対するイニシアチブを実行済み、あるいは実行中であると回答したと記されている。
また、Frost & Sullivanの予測によると、管理面が強化されるとともに、リスクを最小限に抑えたいという要望が高まることで、さまざまなコストにより厳しい目が向 けられるようになるため、SaaS(Software as a Service)やホスティングサービスといったモデルに注目が集まるようになり、今後そういった分野は活況を呈するようになるだろうという。
Frost & Sullivanによると、不況時にチャンスが訪れる可能性のある分野としては他に、従来型か非従来型かにかかわらない、携帯電話管理サービスやネット ワークサービス、リースサービスといったものに加えて、携帯電話による取引、電子請求サービス、例えば支店に依存しないバンキングといったセルフサービス のシステムがあるという。
Milroy氏は声明で「特に、資本的支出を抑えて変動費に振り向けたり、生産性の向上とコストの削減に重点的に取り組んだり、組織の再編や買収をサポートするようなICTソリューションに対する需要が高まるはずだ」と述べている。
Frost & Sullivanはまた、ITのアウトソーシングに対する需要が高まると考えているものの、その恩恵を最も受けるのは、価格競争力のある海外の企業になるだろうと述べている。ただし、契約条件はかなり悪いものとなるだろう。
チャンスのある他の分野には、顧客関係管理(CRM)やビジネスインテリジェンスがある。Frost & Sullivanによると、これらの分野はより優れたデータ管理を通じた生産性の向上機会をもたらすためだという。
Frost & Sullivanは、不況によって企業の買収や合併が増加する可能性についても言及している。これによって、ITコンサルタントやシステム統合を行う企業に大きなチャンスが訪れることになるはずである。
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