製造業の派遣社員が2009年3月以降に一斉に契約の期限切れを迎える「2009年問題」について、「自然消滅するのでは」との見方が業界で広がっ ている。工場の生産体制を急激に落とせないメーカー側は、派遣社員を引き留めるためどのような雇用形態に切り替えるかで頭を悩ませてきたが、このところの 景気の急激な悪化で減産が見込まれ、人員を抱え続ける必要がなくなったからだ。期限切れのピークは来年秋になるとみられ、福島労働局は大量の「派遣切り」 が発生しないよう神経をとがらせている。
電機、半導体などの製造現場を支える労働者のうち、派遣社員とは、人材派遣会社などに雇われ、正社員から直接指揮を受ける労働者のこと。検査や修理など特定業務を受注する請負会社に雇用され、正社員の指揮を受けないのは「請負」契約に基づく労働者だ。
製造業では、派遣社員の受け入れは04年まで禁じられ、その後も「請負」が多くを占めた。しかし、正社員が請負の労働者を直接指揮する「偽装請 負」が06年に相次いで発覚。最長派遣期間を1年から3年に延長した07年3月の法改正を前にした06年に、「請負」から「派遣」への切り替えが一気に進 んだ。06年に派遣となった労働者は、09年3月以降に契約の期限切れを順次迎える――これが「2009年問題」だ。
契約が切れる派遣社員に対する企業側の選択肢は、〈1〉契約を打ち切る〈2〉請負に切り替える〈3〉正社員や期間社員(契約社員)などの直接雇用 に切り替える――のいずれか。福島労働局によると、製造業に携わる県内の派遣社員は約6000人に上り、生産ラインの半数近くを派遣に頼る企業もある。こ のため、多くの企業は工場の操業に影響が出ないよう、業務に精通した派遣社員を請負か直接雇用に切り替える方向で検討してきた。ところが、世界的な景気悪 化と円高が、状況を一変させた。減産が見込まれるメーカーは人員整理に動き出し、県内でも来年3月までに約670人の派遣社員が離職する見通しになった。
県北地方の家電部品メーカーは、150人を超す派遣社員を請負に切り替える計画だった。しかし、人事担当者は「景気の先行きが読み切れず、一部は契約を打ち切るべきか悩んでいる」と明かす。
そもそも派遣社員が従事してきた仕事は、正社員による指揮が必要な業務で、「請負にはなじまない」との見方が強い。直接雇用もコスト面からリスクが高く、多くの企業が敬遠しがちだった。
このため、一部メーカーには、景気悪化を「好都合」ととらえる向きもある。10人近い派遣社員を抱える県内の印刷会社は「業績悪化で派遣社員を減らすことになり、請負にするか直接雇用にするかで悩む必要がなくなった」と話す。
09年問題への対応は、まだ決めかねている企業が多い。福島労働局は「対応の基本は『直接雇用』か『請負』化」と企業側に指導し、「安易に派遣切りをしないよう協力を求めていきたい」(需給調整事業室)としている。
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