フリーターなどに企業で職業訓練する機会を設け、就業を促す国の「ジョブ・カード制度」が不調だ。県内では制度スタートの今年度、50社の訓練実 施企業を見込んでいたが、受け入れが始まった企業はまだ1社だけ。景気悪化で求人意欲が減退し、協力に足踏みする企業も出始めている。
この制度の狙いは、フリーターや子育てを終えた女性など、職業訓練を受ける機会が少なかった人の能力を、企業の協力を得ながら高めることにある。 履歴書に似た「ジョブ・カード」にキャリアや自己アピールを記入し、ハローワーク(公共職業安定所)などで訓練企業が紹介される仕組み。訓練を修了すれ ば、受講歴などをカードに明記してもらい、その後の就職活動に役立てる。訓練では3~6か月の雇用契約が結ばれるため賃金が支給され、企業には国から助成 金が出る。
県内での受け入れ企業の開拓は、厚労省から委託を受けた千葉商工会議所が担当。初年度に50社、計250人の職業訓練を行うことを目指し、200社近い企業に訪問を行ってきた。
ところが、米国の金融危機に端を発した世界不況で状況は一変。当初は関心を寄せた企業も秋以降、「景気が悪くなったので様子を見させてほしい」と 二の足を踏むケースが相次ぎ、「既に採用計画が決まっているので途中からは無理」と断る企業もあるという。訓練の具体的な計画があるのは現在4社だけだ。
制度の当初の目的は、訓練先での就業を経て企業の人手不足を補うことだっただけに、同商工会議所の三浦弘専務理事は「急激な雇用情勢の悪化に、正直戸惑っている。制度で得られる人材が有用だと地道に訴えていくしかない」とため息をつく。
厚労省によると、ジョブ・カードの保持者(10月末現在)は全国で約2万7000人、県内では約640人にとどまり、浸透不足にも関係者は頭を悩ませる。
県内第1号として11月から職業訓練を始めた千葉市花見川区の産業機械製造「ヤマナカ重機」は、来春の工場移転拡張を見据えて3人の訓練生を募っ たが、応募は20歳代の男性一人だけだった。12月から訓練を始める予定だった柏市内の設備工事会社は訓練生が集まらず、募集期間の延期を余儀なくされ た。
千葉労働局は「様々な職種の企業に協力してもらえないと紹介先がなく、カードを利用して訓練を受けようと思う人も増えない」(職業安定課)と“悪循環”に困惑気味だ。
厚労省は来年度、企業への助成を拡大してテコ入れを図る方針という。企業からは「従来の求人に比べ、就労意欲のある若い人材を集めることが期待できる」(ヤマナカ重機の吉沢勇社長)と評価する声もあり、制度の浸透に向けた各機関の努力が試されそうだ。
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