2008-10-30

誰にでもできる! 勉強会の作り方

:::引用:::

勉強会大集合

 「OSC(Opensource Conference) 2008 Tokyo/Fall」で「勉強会大集合」というパネルディスカッションを行った。勉強会の主催者に集まってもらい、勉強会開催の苦労話や、工夫していることなどを議論した。

 参加した勉強会は下記の12グループだ(発表順/敬称略)。

勉強会名
主催(発表者)
わんくま同盟(東京担当 初音玲)
Ruby札幌(島田浩二)
java-ja(yoshiori)
1000speakers(西尾泰和、amachang)
Rails勉強会(諸橋恭介)
Geeklog Japanese(今駒哲子)
東京エリアDebian勉強会(岩松信洋)
カーネル読書会(よしおかひろたか)
小江戸らぐ(奥原浩)
Seaser Foundation(橋本正徳)
Cobalt Users Group(伊藤正宏)
shibuya.pm(竹迫良範)

 3分間のLT(Lightning Talks)スタイルで勉強会の紹介をしていただき、その後、パネルディスカッションを行った。モデレーションはわたしが行った。

  LTのプレゼン資料をあらかじめ送付してもらって、わたしのノートPCにインストールしておいた。そのため、プレゼンテーションの切り替えをスムーズに行 うことができた。通常はPCとプロジェクターのケーブルを切り替えるのに時間がかかるし、場合によってはプロジェクターが正常に作動しないこともあるの で、そのようなトラブルにかかわる時間を節約できた。多人数でプレゼンテーションする場合、1台のノートPCに資料をあらかじめインストールしておくこと は、運営をスムーズにするために必要であると感じた。

 今回、この勉強会大集合を開催した動機は、空前の勉強会ブームのメカニズムを自分なりに理解したかったということと、勉強会共通の成功の法則があるのかないのか、もしあるとすればそれは何なのかを解剖したかったことである。

勉強会を開催するメリット>勉強会を開催するコスト(個人的な負担)
(勉強会の法則)

  この勉強会の法則が成り立てば、勉強会は開催される。恒常的に成り立てば、その勉強会は継続的に開催されると考えている。だとすれば、どのようにして開催 のメリットを上げ、開催のコストを下げるのか。メリットとは何か、どのようにして最大化するのか。コストとは何か、どのようにして最小化するのか。このメ カニズムを解剖したかったのである。

 苦労話、楽しみ、苦しみ、喜び、悩みなどを共有すれば、勉強会開催の敷居がもっと下り、もっと楽に運営できるのではないかと考えたのである。過去の経験から課題を抽出し、それを未来へつなぎたい。また、勉強会開催の未経験者をリクルートしたいという気持ちもあった。

  勉強会を開催したことのない人たちにとっては、そもそも勉強会を主催するメリットもよく分からないだろうし、仮に開催したいと思っても、どこから手を付け ていいのかが皆目見当もつかないというのが実情であろう。各勉強会の「こんな感じで開催している」という情報が共有されれば、開催の敷居も下がるし、 ひょっとしたら、われわれの事例を参考にして勉強会を開催してくれるかもしれない。そのような下心があった。

メタ勉強会

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 勉強会大集合を開催し、勉強会の主催者に集まってもらった。大変有意義であったので、共通の問題について継続的に議論したいと考えた。そのような場が欲しいということで、勉強会に関するグループ「MetaCon」をGoogle Groupsに開設した。

 ゆくゆくは勉強会同士での共同開催や、お題の共有なども行いたいが、当初は勉強会運営にまつわるあれやこれやをゆるゆると議論していく場にしたいと思う。時期をみて、勉強会カンファレンスを開催してみたいと思っている。

 さて勉強会の運営のことを、わたしが主宰している「カーネル読書会」という勉強会のようなものを題材に、個別具体的に説明してみたい。

カーネル読書会とは何か、何を目指すのか

 カーネル読書会とは、Linuxやオープンソースにまつわる話題をゆるゆると議論する場である。横浜Linux Users Group(YLUGと略す)の有志を中心にして不定期(月に1回くらいのペース)で開催している。

 カーネル読書会という名前から、Linuxカーネルのソースコードを、どこかに集まって熟読あるいは朗読する、という会合かと誤解されるかもしれない。しかし、実はそんなことはない。

 「YLUG年表」によれば、1999年4月28日に第1回が開催された。

  第1回の開催はまさに偶然の産物である。YLUGのメーリングリストに、わたしがLinuxカーネルのシステムコールの実装について質問をしたことに端を 発する。メーリングリストで教えてもらったことをきっかけに、カーネルのコードを読む宴会みたいなことをしたら楽しいのではないかと思い付いた。そのよう に呼び掛けたところ、わらわらと参加者が集い、20人以上の人が集まってしまった。溝の口の川崎市高津市民会館の会議室を借りて開催した。1時間ほどシス テムコールの実装、というかソースコードを眺め、その後は場所を飲み屋に移して宴会をした。この時点では、第2回を開催するつもりもなければ、それが延々 継続して、来年には100回目に到達してしまうなどとは微塵も思っていなかった。

 メーリングリストの感想を読ん でみると、「非常に楽しかった」「またやりたい」という声がたくさんあったので、2カ月後に第2回を開催した。それがまた楽しかったので、その1カ月後に 第3回を開催した。そのようにして何回か開催していくうちに、不定期ではあるが、継続して開催されるようになった。場所も、溝の口から渋谷マークシティ、 2002年からは保土ヶ谷のOSDL、2005年からはミラクル・リナックスのオフィスと転々としつつも、いまに至る。先日、第90回の開催を数えた。9 年半で90回なので、1年に10回のペースである。

 カーネル読書会でわたしは何をやりたいのだろうか。何を目指しているのだろうか。

  端的にいえば、Linuxという題材をさかなに、みんなでわいわい技術的なお話をしたい、それだけである。Linuxの実装を話すのは楽しいとわたしは思 うのだが、そのように感じる人は、そんなに多くないと思っていた。しかしカーネル読書会を主宰してみて初めて気が付いた。そんなに多くはないが、全然いな いわけではなかったのだ。特に、東京近辺には何人もいるということをわたしは発見した。インターネットはそのようなニッチな同好の士を発見することを可能 にしたのである。

 技術を語る場が欲しかった。それができたことに喜びを感じる。

  勉強会開催の動機は人それぞれである。それは誰にもコピーはできない。わたしのようにたまたま開催してみたら、楽しくてやめられなくなったというカッパエ ビセンのような人もいるだろうし、崇高な志のもとに開催を続けている人もいるだろう。いずれにせよ、なにがしかの動機のもとに開催を決意したとする。

 次ページ以降で、勉強会開催のプロセスを紹介しよう。

初めての勉強会開催の流れ

 勉強会を開催しようと思う動機は人それぞれである。その後の開催のプロセスは下記のとおりだ。

  1. 開催内容、お題、ネタ、発表者を決める

  2. 場所、日時を決める

  3. 告知

  4. 懇親会、飲み会などの予約

  5. 当日の運営

  6. フォロー、振り返りなど

お題の決定、発表者、形式

 なにがしかの勉強会を開催したいと思ったあなたは、すでに勉強会主宰者である。

 ひょっとしたら、自分に合った勉強会がすでにあるかもしれないので、「IT勉強会カレンダー」をチェックしてみよう。自分のニーズにピッタリと合う勉強会がなかったら、ここは思いきって勉強会の主宰者になってみよう。

 難しく考えることはない。できる範囲からのスモールスタートでいいと思う。

  お題はもちろん何でもいいのだが、唯一絶対まげてはいけないものは、「自分が勉強したいと思うお題にする」ということである。勉強したいと思わないことを 勉強会のお題にする人はいないとは思うが、重要なことなので記しておく。カーネル読書会のお題は何でもありなのだが、唯一、絶対的な基準は「自分が興味の あることだけを選んで、話をしてもらっている」ということである。興味のないことに自分の時間とコストをかけるべきではないし、自分の興味や情熱が続かな いのであれば、勉強会をやめる勇気も必要である。

 勉強会の発表者をどのように選ぶか。最初のうちは、自分自身が 発表者となる場合が少なからずある。発表者のメリットは多い。自分がその分野に精通していないとしても、発表する機会を持つことによって、いろいろと調べ て自分なりにまとめる。それは、自分があるテーマを理解し、整理するうえで非常に役に立つ作業だ。時間と労力を費やして、誰かにそれを聞いてもらうことは 決して無駄な行為ではない。

 あるいは、仲間を募って、共通の興味を題材に選ぶのもいい。なんでもかんでも1人で抱え込まない方がいいかもしれない。

 勉強会の形式は、誰かに講義してもらう「セミナー形式」、ちょっと難しめの本を読む「読書会形式」、みんなでわいわい発表する「Lightning Talks形式」、共通の話題について議論をする「ワークショップ形式」などさまざまあるので、それも決めておく。

場所、日時を決める

 題材や形式を決めたら、次は勉強会の場所を選ぼう。

  1. 公共の施設(区民会館、市民会館など)

  2. 民間の貸会議室

  3. 自分の会社の会議室、あるいは学校の教室

  4. そのほか(居酒屋、カラオケルームなど)

  公共の施設の場合、値段は安めだが、その地域の居住者でなければいけないとか、勤務地がそこの地域になければいけないなどの縛りが存在する可能性がある。 予約時に確認しよう。民間施設の場合は、公共施設に比べて値段が高めである。ただし、大小さまざまな施設があるので、ニーズに合った会議室が見つけられる だろう。

 コストがかからないという点では、会社の会議室や学校の教室という手もある。会社によっては、従業員以外の利用を制限していたり、そもそも利用を認めていなかったりするので、会社とよく相談してみよう。学校の施設についても同様で、まずは(学校に)相談してみる。

  意外な穴場は、居酒屋やカラオケルームである。最近は、プロジェクター完備の居酒屋が少なくない。LTのような軽めの議論では、意外といいかもしれない。 カラオケルームは、電源の確保がしやすいというメリットがある。少人数(10人未満)の勉強会では、使えるかもしれない。

 日時については、平日の夕方からやるのか、休みの日にやるのかで、若干異なる。

 平日の就業時間後に開催となると、早くとも午後7時以降の開催になるので、長くて2時間程度しか時間が取れない。休日開催であれば、午後まるまる開催するとすれば、数時間は取れる。これなら、プログラムに余裕が持てる。

 勉強会の方向性や狙いによって、平日開催か休日開催かを考えよう。

  カーネル読書会の場合は、ミラクル・リナックスのオフィスで開催することが多い。自分の勤務先なので、使い慣れていて便利だからである。勉強会やコミュニ ティ活動に理解がある会社も多いので、一度会社に相談してみたらどうだろうか。前例がなければ、自分が前例になればいい。

懇親会の予約、準備

  カーネル読書会は、最初からカーネルをさかなにヨタ話をするというコンセプトだった(少なくとも自分の中ではそうだった)ので、宴会のないカーネル読書会 というのはありえないし、宴会がなければカーネル読書会ではない。従って、お題の提供、会場の確保と同様に、飲み会の場所の設定も重要だった。ここだけは 譲れない一線、みたいなものである。

 せっかく勉強会で集ったのだから、懇親を深めたいと思うのが人情である。懇親会も、希望 者が会議室で持ち込みでだらだらやる形式から、近所の飲み屋で開催する形式までさまざまだ。勉強会自体を居酒屋やカラオケルームで開催した場合は、勉強会 なのか飲み会なのか、そもそも始めからファジーだったりする。

 カーネル読書会をミラクル・リナックスのセミナールームでやる 場合は、会場でピザパーティー(ビアバッシュと呼ぶ)を開催することが多い。会場でピザパーティーにすると、予算を安く抑えられるという直接的なメリット のほか、移動の時間を節約できる、立食形式なので、いろいろな人と自由に話ができるというさまざまなメリットがあるからである。

 勉強会の後の懇親会は、別に焼肉をがっつり食うとか、グルメを楽しむわけではない。お題に沿ったネタを皆で再度、そしゃくし直すのが目的だ。できれば自由に動き回れる方がいいし、講師に質問する機会があった方がいい。その意味で、立食形式はベストに近い。

 とはいうものの、会議室では飲食禁止ということも多い。その場合は、近所の飲み屋など、懇親会の場所を別途設ける必要があるだろう。

懇親会会場の選択・運営の注意ポイント

  1. 会場から近いこと

  2. 参加者を収容できるだけの広さがあること

  3. 当日、急に来れなくなる人もいるので、少なめの予約にすること(ドタキャン対策。1割程度はどうしてもドタキャンが発生する)

  4. 当日飛び入り参加も可能かどうか確認しておくこと

  5. 座敷だと席替えがしにくいので、いす席の方が何かと便利である。貸し切りにできるのならば、立食の方がいろいろな人と交流できてうれしい

  6. 飲み放題などを付けて、コースにしておくこと。個別オーダーだとあらかじめ予算が読めない

  7. 予算は4000円、5000円など切りのいい数字にしておいて、おつりの計算を簡略化しておくこと

  8. あらかじめ集金係を決めておき、名簿との照合を行うこと

  9. 未成年者がいる場合のフォローが必要である。名札などで未成年であることを分かるようにしておく。学割なども準備しよう。社会人が多い勉強会であるならば、学生は1000円にするなど厚遇しよう

  10. 会場への移動は迷子になる人もいるので、地図や連絡先などをコピーして参加者に配布しておくこと

 カーネル読書会のビアバッシュの段取りは、わたしの個人ブログにまとめたので参考にしてほしい。


勉強会告知

 誰でも参加OKの勉強会と決 めたら、告知して広く参加者を募ろう。告知場所も、自分のブログ、「mixi」などのSNS、「Twitter」や「Wassr」などのミニブログと、さ まざまなメディアがある。すでにその分野のポータルサイトやメーリングリストがあるならば、そこにメールを出すのも手である。おなじみのIT勉強会カレンダーに掲載をお願いするというのも強力な手段である。

 勉強会は講師だけでは成り立たない。参加者あっての勉強会である。何かを勉強したいという共通の思いだけで集った人々である。その共通の思いを大事にしたい。

 会場の広さで募集人数が決まるが、各種法令により定員以上入場できない会場もあるので、募集人数は明記しておく。定員に余裕がある場合は、多めに募集をかけておく。どうしても当日のキャンセルはあるので、それも折り込む。

 告知すべき内容は下記のとおりだ。

  1. 勉強会の名前

  2. 開催日時

  3. 開催場所

  4. 内容、講師、開催形式(セミナー、ワークショップ、課題の書籍の読書会など)

  5. 料金。無償なのか、費用の負担方法など(会場費、資料費として、いくらなど)

  6. 定員

  7. 参加登録方法、締め切り方法(定員で締め切り。締め切り日など)

  8. 懇親会の情報。場所、値段、開始時刻、登録方法

  9. そのほかの情報。最近ではUstream.tvなどでのインターネット中継や、ニコニコ動画、YouTubeなどでの動画配信を行う場合があるので、その有無や、過去の勉強会の資料置き場、関連情報のURLなどを記しておくとよい

当日のオペレーション

 第1回の場合、全員が初対面なので、名札、名刺などを用意しておく。名刺サイズのシールを用意し、手書きの名札を胸に貼るというメソッドもある。実名でなくても、「はてな」やTwitterのid(ハンドル名)で構わない。

 初対面同士が多いと、どうしても空気が固くなる。なぜ勉強会に参加したのか、どこで情報を得たのかなどの自己紹介を皆で行ったりする。

  休日開催で、午後をたっぷり使える場合は、自己紹介の時間を長めにとることも可能だ。また、休憩時間を長めにとって、参加者同士の交流を深めるという方法 もある。平日の夕方開催の場合は時間の関係もあり、なかなか参加者同士の交流が取れない。その場合は、懇親会でフォローする。

 主宰者は積極的に声掛けをする。せっかく来てくれたのだから、わざわざ来てくれたことに感謝しよう。できればリピーターになってほしいので、要望や感想などを聞いて改善できる点は改善したい。

 何回も開催していくと、常連と初参加者の間に見えない壁が生じることがある。微妙な内輪ノリをかもし出してしまう場合があるので注意したい。

 内輪にだけしか分からないネタで内輪で盛り上るのは慎みたい。いろいろな人と交流を深め、勉強会を楽しむことが重要である。

振り返りとフィードバック

  いろいろ気を配っても、どうしても至らない点が多々出てしまう。ある程度は仕方ない。自分なりに振り返りをして、良かった点、悪かった点、次回試してみる ことなどをまとめておく。参加者にはブログなどで感想を記してもらうようにお願いする。参加者のフィードバックを1つ1つ確認することによって、次回への エネルギー源とする。

 参加者にブログなどで感想をお願いするのは、単に「勉強会の問題点を指摘してもらう」だけではない。良 かった点もブログから読み取れるので、それを自分のエネルギー源にできる。自己満足で終わらないようにすること。自分のやりたい勉強会が、参加者にとって 参加しやすいもの、あるいは参加したいものになるようにするには、参加者からのフィードバックは絶対必要なのである。参加者にとって、面白かったこと、良 かったことを知ることは、次の勉強会を企画する際の指針になる。

 自分の興味と参加者の興味を近づける、という行為を意識して 行うことが、非常に重要である。自分に興味のないことは続かないし、自分にウソをついて興味のないことをやっても、魂がこもらない。徹底的に(自分に)正 直になること。自分の興味のあることだけにこだわる勇気が必要である。そして、勇気を持って貫いた自分を、時には積極的に褒めることも必要である。

 勉強会は1人では開催できない。講師を務めてくれた人や、参加者みんなで作り上げるのが勉強会である。講師にとってもプラス、参加者にとってもプラス、主宰者にとってもプラス。誰も損をしない、全員がプラスとなるような勉強会を開催したい。

 欲張りに見えるかもしれないが、そのような勉強会の運営は不可能ではない。カーネル読書会は、少なくともわたしがやりたいことをやるという原点から出発しているが、結果として全員がプラスになっている。

社会人としての注意

 会社の設備を利用する場合は、会社に対して事前の了解だけではなく、事後の報告もしよう。会社の設備を利用することによるリスク、メリットについて、同僚、上司にもきちんと説明をし納得してもらう。

 仕事との兼ね合いで、周りが大変忙しい時期に1人で勉強会だなんだとハシャいで見えるのは、よろしくない。日程の調整なども、社会人としての自覚を持ってやることは基本中の基本である。

勉強会の開催で得たものと失ったもの

  勉強会を開催することで、わたしは何かを失っただろうか。勉強会大集合でほかの勉強会主催者の皆さんと議論したが、結局わたしはなに1つ失っていないこと に気付いた。手間も暇もほとんどかけていない。費用もかけていない。運営といっても、講師とのスケジュール調整、場所の手配、ピザとビールの発注、告知く らいなものである。数をこなしているので、目をつぶっても実施できる。自分の精神的コスト、肉体的コスト、経済的コスト、まるっきりゼロ。持ち出しゼロで ある。

 一方で、さまざまな興味深い最先端のお話を無料で聞きたいだけ聞き、質問もがんがんできて、さまざまな人と知り合えて、大きな宝物をいただけた。

  自分がちょっと動いただけで、とてつもない宝物をいただけた。講師の皆さまや参加者の皆さまのおかげである。それをエネルギーとしたからこそ、9年以上の 長きにわたって続けることができたのである。ローリスク、ハイリターン。カーネル読書会を開催し、それを続けてきて良かったと本当に思うのである。

  カーネル読書会の経験で得たことを中心に本稿をまとめたが、ここで紹介していることは、あくまでわたしがこのようにやってきた事例なので、唯一ベストな方 法というわけでも、これでなければいけないという方法でも、常に適応可能だというわけでもない。それぞれの事情に合わせて適宜応用してほしい。

 勉強会は誰でも開催できる。継続するのにはちょっとしたコツが必要かもしれないが、そのコツはコピーできるのである。どんどんコピーして、できれば改良して、それを自分の勉強会企画にフィードバックをしていただければ望外の喜びである。

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