2008-09-12

技術者がする営業とは

:::引用:::
むこうさんからコメントいただいたことについて

>  最近は厳しくなっていて、多めに人を募集している現場でも
> ★「プローパー3人につきパートナー1人の割合」
> でないと駄目
>
>  という大手の現場さんも増えている形です。

ここ半年で「人余ってない?」から「案件ないですか?」に急激に変わってきていますが、弊社は人だしを積極的にやってなかったので、そこまで状態が悪化しているとは正直思っていませんでした。
実際は、大阪ではほとんどパートナー不可になっているようです。

募集している案件は大火事ばかりで「2xxH(書けない)を標準で見積もって」とか(苦笑)

>  下流の会社的には、
> 上で受けている社員さんのスキルが低い場合には
> 上のほうで受けている会社のフォローがまず前提になると思います。
> (代わりに仕事を遣ってあげて、その人が仕事を遣ってあげた風にする等)
>
>  まず其処から信用をえてという感じでしょうか・・・。

これは当然でしょうけれど、エンドユーザが見える仕事ならフォローしている自分をエンドユーザにアピールしてもいいかもしれません。
エンドユーザからの支持というのは、最も大きな後ろ盾になります。
一旦、切れてもご指名もありますから。

>  其の後は 
>  自分がいる現場に、新人を3人ほど突っ込めなければ
> 人だし系のIT会社ではいつまでたっても評価は上がらない
> のは確かです。
>
>  新人を突っ込みたいのは1次受けの方も同じなので
> ★「より上の受注で受けられるように努力しろ」
> というのが会社的な指示にもなるのは当然だと思います。
>
>  そこらへんをヒューマンスキルという言葉一つで
> 軽くかたづけられてしまったりしていますが・・・。
>
>  技術的な話は勉強すればどうにかなりますが
> そういうスキルってどう磨けばいいのか
> 何時も考えてしまっている自分がいます。

個人的な考えですけれど、所謂下流工程から上がってくる人は、思考がボトムアップになっていると思います。
これをトップダウンに変える事ができるかが、一つの鍵ではないでしょうか。

例えば、
今回のプロジェクトの本来の目的は何か?
どのような順序で受注が確定したか?
競合はどこだったか?
競合はどんな提案だったか?
エンドユーザの次の予算はいつごろ決まるか?
そのキーマンは誰か?
予算は拡大傾向か縮小傾向か?
次に控えている投資は何か?
そもそも経営課題は何か?
・・・

少なくとも営業やコンサルが作成した資料から順に読んで、プロジェクトの初期から理解すべきです。また、予算の決定時期など資料に書かれていない項 目を頭に叩き込んで、聞き出す為のシミュレーションを常にしておき、休憩所や呑み会の少しのチャンスに、エンドユーザなどから聞きだせるようにする。って のが私の考える(対顧)コミュニケーションスキルです。

さて、これは私がよくやった作戦の一つですが。
情報を集めて、エンドユーザが初期に何を思っていたか、コンサルや営業が何を言ったか、が見えてくれば、その中に技術を知らない(知ってるつもりの)コンサルや営業が「難しいから無理です」と断った要望が必ずあります。
これは、何かのタイミングで噴出す問題で、場合によっては仕様変更のネタにもなります。ですから、技術を現場を知っている者として代替案が出せないか、もう一度考えていくわけです。

つまり、トップダウンで課題を見つけて、ボトムアップで解決していくわけです。

代替案の規模に応じて、次回に盛り込むように動くか、今回に割り込ませるように動くかも変わってくるでしょう。
ですから、予算の決定時期なども調査をしておく必要があるわけです。
または、ユーザは蒸し返してくる可能性が高いのですから、その瞬間を狙って、予め営業に「xxの件について蒸し返してきたら、xxの方法でxx人日で請けられるよ」と伝えておくだけでOKです。
増えたxx人日の仕事を作ったことになりますね。

いずれにしても、もし、断った要望を実現すればエンドユーザには充分な価値を提供できたことになり、追加予算が出たり、次回の規模拡大に寄与できれば、上位に発言力が強まります。規模によっては、二次請としてシェア拡大(新人突っ込む)の可能性も出るでしょう。

もちろん、新人君でなければ、コンサルや営業に恥をかかせないようにして恩を売るべきか、恥をかかせても自分をエンドユーザに売り込むか、高度に政 治的な判断(笑)も重要になりますから、良く考えて行動をすべきで、会社として提案すべきとか、個人的に提案すべきとかも、充分考える必要があります。

ということを考えても、若い頃にできる提案はショボいものですから、突拍子もないことを言って笑われることもあるでしょう。
しかし、笑われたときに学べることも数多くありますから、当たって砕けたらいいです。
失敗を恐れずに繰り返していれば、提案の精度は徐々に高くなり、数年でとてつもなく成長した自分を実感できると思います。

尤も、自宅では脳内シミュレーションしかできませんから、会社にへばりつくことになるかもしれません。
こんなことを考えて仕事していると、泥のように働かないと追いつかないですけれど、提案が通ったときの快感は、コンパイルが通ったときの快感よりはるかに大きいものですから、小さい提案から始めて成功体験を積み重ねれば苦しくても続くでしょう。
私が今までやって来れたのも、そんな思いからです。

以前、「ソリューション営業の方が技術者に向いているスキル」と書いたのはそういうことです。

向いているかどうかは、その人の資質によるのですけれど、コンパイルが通った喜びから技術者をやっているような人は、ソリューション営業、つまり、コンサル型の技術者が向いていると思う。
しかし、「人だし系のIT会社」というのは、自社の技術者を調整型(マネージメント系の技術者)に向けようとすることが多いのですが、「人だし系のIT会社」に来る人はプログラミングが好きな人の割合が多く、大変大きな意味でのミスマッチが起きているんじゃないかと…。

個人的には、調整型はコンパイルが通ったような成功体験が少ないから私はイヤだな。

社長が言うこっちゃないな(笑)

話がそれましたが、大手に入ってプログラミング経験なしに上流をやっているような人は、調整型は優秀な人が多いけれど、技術に裏づけされた提案ができていない。
ですから、自分をコンサル型の技術者と定義すれば、上流のコンサルが言ったことをひっくり返すなど簡単なことです。

多くは名前負けしてビビッているだけです。
ただし、ひっくり返すときはエンドユーザを味方につけてからね。

ボトムアップもトップダウンもできるというのは、コンサル型なら大きな武器になるわけです。
調整型なら、今までやってきたことを一旦リセットしてマネージメントに生きなくてはいけなくなりますね。
しかも、調整型は優秀な人がいっぱい居るので、そこで勝負すると会社の規模で負けてしまうというのが弊社の考え方です。
(それゆえ、弊社は調整型が足りなくて困っていますが…)

これは、小さい会社に入った最大のメリットじゃないかと思います。

ともかく、不況だけに案件を作れる人の評価は通常時の何倍も大きくなりますから、騙されたと思ってチャレンジして欲しいものです。

なんか、いつも通りくどくなりましたが、ほとんど社員に向かって書いてます。


●●コメント●●

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