米販売会社「三笠フーズ」(大阪市)と、グループ企業の米卸売会社「辰之巳(たつのみ)」(東京都)が農薬に汚染された事故米を清酒メーカー「美少 年酒造」(熊本県城南町)に販売した問題で、農林水産省から不正競争防止法違反(虚偽表示)容疑で告発を受けた熊本県警は、2社の行為には(1)ベトナム 産米を国産米に偽装し(2)事故米は「ない」と偽装した、という二重の偽装があるとみて、立件に向けて捜査を進めている。
熊本県警や美少年酒造によると、同社は辰之巳から事故米混入の可能性がある米を購入したが、取引のたびに辰之巳は「国産100%であると証明しま す」とする証明書を出していた。さらに、事故米転用問題の発覚後に美少年酒造が問い合わせた際にも、辰之巳は今月8日に社長名や社長印入りの用紙で、「事 故米は一切入っておりません」とする文書を送ってきていた。
九州農政局のこれまでの調査で、美少年酒造が購入した米には、残留基準(0.01ppm)の3倍の殺虫剤成分のアセタミプリドが検出されたベトナム産のうるち米が含まれていることが判明している。
容疑を固めるため、熊本県警は美少年酒造の緒方直明社長や仕入れ担当幹部から、辰之巳との米の取引状況などについて任意で事情聴取している。すで に、美少年酒造や九州農政局から、辰之巳が出した証明書や、事故米から殺虫剤成分が検出されたデータの提供を受けており、不正競争防止法違反(虚偽表示) の容疑が二重にあてはまるとみている。
一方、三笠フーズと辰之巳の一連の行為には食品衛生法に違反する疑いもあるとみているが、美少年酒造側が辰之巳から購入した米をすべて清酒の醸造に使い、米の現物が残っていないことなどから、慎重に調べている。
熊本県警は、三笠フーズの本社がある大阪府警や、事故米を取り扱った同社九州事業部(福岡県筑前町)のある福岡県警と、合同捜査に向けて打ち合わせを進めており、三笠フーズや辰之巳に対する容疑が固まり次第、強制捜査に踏み切る方針だ。
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