労働者派遣法がまた揺れています。日雇い派遣の禁止に続いて、今度は製造派遣の禁止論。この法律に基づいてビジネスをしている人材派遣業界にとって、大いに気になるところでしょう。
昨年秋以降、自動車メーカーなどの製造企業で、派遣社員や期間従業員などの非正規労働者が大量に契約打ち切りとなり、厚生労働省の調査では今春までに8万5000人に達する見通しといいます。
契約を打ち切られた派遣社員らが、それまで住んでいた寮を追い出されて行き場を失い、東京・日比谷公園の「年越し派遣村」で年末年始を過ごす様子がマスコミで大々的に報道されました。
これを見た野党が、さっそく派遣法に「製造派遣の禁止」を入れるよう要求。与党も舛添厚労相が製造派遣の見直しに言及したことから、世の中のムードは急速に「禁止」に流れています。
さすがに、経団連などの派遣活用側は「多様な就業形態は必要」として慎重であり、政府も「50万人いる製造派遣社員が職を失う懸念もある」(麻生首相)と 述べています。日雇い派遣の禁止を入れた改正法もまだ決まっていない今、製造派遣まで規制されるのかどうか、事態は流動的です。
前回、私は「存在感失った人材ビジネス」と題して、こうした事態に何の主張も対応策も打ち出せない業界が情けなく、「政府も業界も恥ずかしいと思うべきだ」と書きましたが、最近、ますますその思いを強くしています。
というのも、マスコミ報道に出て来るのは派遣先企業と派遣労働者だけで、両者をつなぐ派遣会社の存在は完全に無視されているからです。あるいは、「現在の 緊急事態に、派遣会社は何をしているのか」とたたかれるよりは、亀が首を引っ込めるように、今は沈黙を守る方が賢いのかもしれません。
しかし、 これではその時々の情勢で派遣法がコロコロ変わるという実にみっともない、派遣で働いている人々にとっては希望の持てない労働市場になってしまいます。日 本の労働市場がどうあるべきか、そのために業界はどんな役割を担えるのか。そうした基本姿勢を、業界自らが強く打ち出すべきではないでしょうか。
さらに言えば、派遣先の事情に左右されるだけの業界では、いつまでたっても自立はかないません。パソナグループの南部靖之代表は、10年ほど前から農業 の重要性に目を付け、自ら本社地下に「農園」を作ったり、地方自治体と連携して若者を地方に派遣する地道な活動を続けています。
南部氏が掲げる「雇用創出」の一環ですが、人材ビジネスは今、そこまで考えるべきではないかと思います。「派遣先のニーズがなければ、こちらから提案しても無意味」と言い切る業界トップもいますが、こうした人に「雇用創出」を言っても無理でしょうね。
冷静に見回せば、国内では看護、介護、農業、サービス業など、人手を欲しがっている分野がまだまだあり、不振企業が吐き出した余剰労働力の有力な「受け皿」になります。新たな雇用を生み出す気概と夢が欲しい。業界挙げて、今年を「雇用創出元年」にして欲しいものです。
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