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介護の現場で人手が足りない。仕事の負担感の割に賃金が低いからだ。志を持った若い人でも意欲を失ってしまう。何とかしなければ。
そんな声が反映されて、介護報酬の新年度からの3.0%引き上げが決まった。2000年度に介護保険制度がスタートして以来、初めて引き上げ改定が実施されることになる。
職員の待遇改善が魅力になって人材の確保が進めば、介護サービスの質そのものが全体的に向上するのではないか。将来への展望を開くきっかけとして、ぜひ生かしたい。
改定で常勤職員の給与が月2万円増えるというのが、厚生労働省の皮算用。しかし、経営者の配分の仕方次第だから想定通りになるとは限らない。
介護報酬の引き上げで当然、利用者の1割の自己負担分も増額になる。職員の待遇改善策に有効に配分されているかどうか、チェックが必要だ。
改定は3年ごとで、03年度は2.3%、06年度は2.4%、それぞれ引き下げられた。利用者の増加に伴う介護保険からの給付増を抑えるためだった。
2度の引き下げは、低賃金化による人手不足を生み、事業経営を悪化させた。離職率が20%を超え、事業者の倒産は介護保険制度導入以来、最悪のペースで進行した。
09年度4月からの改定はまず、夜勤など負担の大きい業務の単価を引き上げる。「専門性」への評価も重視し、介護福祉士の有資格者の比率が多い事業者の報酬を増やす。
5つに区分けしている地域ごとの単価も一部見直した。ほかの産業との給与格差が大きい東京23区の割増率を引き上げる一方、中山間地域の小規模事業所の報酬を上乗せする。
厚労省の概算によると、全体で3.0%引き上げられることで、介護職員80万人(常勤換算)の月給が2万円増える。
もちろんこれは机上の計算で実現を危ぶむ見方も根強い。経営環境が厳しい事業者が、改定による増収分を赤字の補てんや新たな人材獲得経費に回す可能性があるからだ。
介護報酬はサービスの利用者が1割を自己負担し、残りは保険料と税で半分ずつ賄われる。今回は基金の創設で保険料のアップは月約180円程度(65歳以上)にとどまりそうだが、自己負担分は増える。
引き上げ改定による職員の待遇改善が、それぞれの事業所で具体的にどう進んだか。改善できないのだとすれば、どんな事情が生じているのか。改定効果の検証が不可欠だ。
介護現場の職員給与がどう変化したかをきちんと追跡調査する。障害があるのであれば、その対策を講じる。厚労省の新年度の大事な仕事になる。
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