2009-01-16

新たな課題外国人児童

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 日系ブラジル人ら外国人が多く暮らす越前市。外国人児童生徒ことば指導員として市内の小中学校で10年以上、日本語を教えている清水久恵さん(54)は近頃、「子どもたちが変わった」と感じるようになった。

 たとえば、小学3年のブラジル人男子児童に算数を教えた時。問題の日本語文は読めるのに、内容が理解できない。「日本語の日常会話はちゃんとできるのに、どうして……」

 日本での生活は長いのに、年齢にふさわしい学習能力の伴わない外国人の子どもが、県内でも増えている。こうした子どもたちは〈ダブルリミテッド〉と呼ばれている。

 母国語が未発達な状態で外国で暮らし始め、外国語に触れるようになると、母国語と外国語の両方とも習熟できなくなる。言語能力が不十分なために、学習も進まない。

 法政大キャリアデザイン学部の山田泉教授(58)(多文化教育学)は「低学年や幼少の頃に来日した子どもがダブルリミテッドに陥りやすい。学習に 必要な能力が母国で備わっていないからだが、学校現場では、まずは日本語の全くできない子どもの指導から始める傾向にあるので、日本語がある程度できる子 の学習にまで十分対応できていない」と現状を指摘する。

 こうした子どもたちを見放さず、学力を向上させようと、越前市内ではボランティアによる母語教育活動も始まった。市内の小中学校で日本語指導をし ている市アクセスワーカーの荒井千恵子さん(44)が中心となり、市国際交流協会の協力も受けながら、2008年6月から毎週日曜日にブラジル人の子ども 向けに母語教室を開いている。市内を中心に児童・生徒ら約30人が参加し、荒井さんが用意したポルトガル語の教科書を使い、保護者らも指導役を務める。

 荒井さんは「両言語を使えるようになれば、それが武器になり、将来が広がるはず」と期待する。

 外国人の子どもたちの教育環境には、昨秋以降の景気悪化による保護者の失業も影を落とす。仕事を求めて転居するケースも多く、学習環境が不安定に なる。市内で最も多い約50人の外国人児童が通う市立武生西小学校の斉藤治校長(60)は「多くの保護者が子どもを日本で学ばせたいと思っている。就学相 談を受けるなど、できる限りの支援をしたい」との決意を示し、方策を模索中だ。

 今後も増え続ける外国人の子どもたちへの教育問題。山田教授が「ボランティアだけで支えていくことは難しい。行政は人材、資金の両面で制度を整え、支援していくことが必要」と語るように、解決すべき課題は山積している。

2009年1月16日 読売新聞)

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