2007-09-26

愛知県 : 中国人「実習生」の労働実態

:::引用:::

愛知県 : 中国人「実習生」の労働実態
――時給300円、月200時間残業――

■朝8時から深夜0時まで、1ヶ月休み無しも
今日は中国人「実習生」の労働相談を受けた。愛知県内の縫製業で働く20代の女性2名
から話を聞く。

彼女たちは携帯電話を持つことを会社に禁じられているらしく、手紙も会社に見られてし
まうので、こちらからの連絡手段はない。彼女らが公衆電話からかけてくる電話だけが唯
一の連絡手段である。

彼女たちの働く工場は、日本人従業員が3人に対し、中国人「研修生・実習生」が実に18
人もいる。法令では、従業員50人未満の企業は1年間に「研修生」を3人までしか受け入れ
られない。「研修生」として来日した外国人は、1年目の「研修」期間を終えると「実習
生」に昇格し、労働基準法の適用される労働者としてその後も2年間日本で働くことが可
能である。が、毎年3名の「研修生」を受け入れ、その人たちをそれぞれ3年づつ使い続
けるとしても、小規模企業では最大9人以上の「研修生・実習生」を働かせることはでき
ないはずだ。

なぜ日本人従業員3名の企業が18名もの中国人「研修生・実習生」を使えるのか。不思
議に思っていたが、彼女たちの外国人登録証を見てわかった。実は彼女たちは、書類上、
所属している会社が違うのだ。AさんはXという企業の「実習生」で、BさんはWという
企業の「実習生」となっている。しかし実際には、企業Xと企業Wは一体のものであり、
Wの経営者はXの経営者の息子なのである。そして彼女たちは、企業Xでも企業Wでもな
いZという会社の工場で働いていて、企業Zの経営者は企業Wの経営者と同一人物であ
る。

するとどうなるのか。企業Xは一つの企業として最大9人の外国人「研修生・実習生」を
受け入れられる。企業Wも一つの企業として最大9人の外国人「研修生・実習生」を受け
入れられる。そして実際には、従業員3名の企業Zがこうしてかき集められた18人もの
外国人「研修生・実習生」を格安の労働力として使用することになるのである。もちろ
ん、外国人「研修生・実習生」を届け出た会社以外で働かせるのは「飛ばし」と呼ばれる
れっきとした違法行為なのだが……。

彼女らの持つ契約書には、目を疑うような記述が散見される。「接収単位(筆者注:=受
け入れ会社)以外の人と接触してはならない。 恋愛は禁止。違反者は即刻強制送還。 
帰国費用は自己負担」などと公然と書かれている。今日 僕たちと会ったことがバレれ
ば、それだけでアウトだ。

「絶対に社長の命令に服従すること。集団で抗議をしてはならない」などとも書かれてい
る。違法行為はほかにもある。たとえば、1年目の「研修」期間に残業をさせることは法
令で禁じられている。会社側もそれは知っており、彼女らの契約書にも「研修期間にある
ときは、残業はこれ日本の法律に違反するので自ら会社に残業を要求することはできな
い」と明記されている。ところが同じ契約書の同じ条項に、「一年目の研修期間の残業代
は1時間当たり300円である」と公然と記述されているのである。「残業は法律違反だ
からやらせろと要求してはならない。ただし、会社が残業してほしいときは、法律違反だ
が時給300円でやってくれ」と言っているのである。

そしてこの残業が尋常ではない。彼女らがひそかに隠し撮りしたタイムカードを見て驚い
た。彼女らは毎日8時間の労働時間のほかに、月に200時間以上の残業をしている。

具体的にいうと、朝の8時から勤務が始まり、これが夜中の0時まで続くのが当たり前。
(ひどいときには夜中の4時まで働き、 翌朝また8時から勤務が始まっている)。そし
て、休みが全くない。これは比喩的表現ではない。1ヶ月31日間、土曜日も日曜日も、
1日の休みもなく朝の8時から夜中まで来る日も来る日もひたすら働き続けているのであ
る。

「じゃぁ、 今日はどうやってここに来たのか」とたずねると、「本当な今日も仕事があ
るはずだった。けれど金曜日に突然社長が、『仕事が減ったから、今週の日曜日は仕事が
ない』と言った」というのだ。ちなみに社長は、「朝の10時に来て夜の7時に帰る」の
だという。土曜日も日曜日も会社に来ない。それでいて、「これだけ残業させてやってい
るのだから感謝しろ」と中国人に言うのだそうである。

そういうわけで、夜の7時を過ぎると社長はおろか、日本人は工場から誰もいなくなる。
後はひたすら中国人だけで会社をまわす。「研修」だ「実習」だと言いつつ、実は工場を
まわしているのは中国人なのだ。いったい何を学ばせているのか。(ただし、その間も仕
事をサボらないよう、監視カメラはしっかりと回っているのだそうだ)。

また、こうしたなけなしの給料も彼女らの手に全額渡るわけではない。「研修」期間中
は、月1万円程度しか渡さなかったらしい。残りは強制貯金させ、通帳は会社側が管理す
る。

「月1万円」と聞いて、「それではとても食べていけないだろう。食事くらいは会社が出
しているにちがいない」と僕は思ったのだが、甘かった。会社は彼女らに一切食事を出さ
ない。彼女らは文字通り、日本で「月一万円生活」をしていたのだ。(食事を出さないま
でも会社が「研修生」らに米を渡し、それを自炊して生活する……という話は聞いたこと
があったが、ここではそれすらないらしい)。

1年目を過ぎて晴れて「実習生」となっても、基本給5万円は全く変わらない。残業代は
月350円となるが、無論、最低賃金法違反である。そもそも土曜日も日曜日も、月に1日
の休みもなく働かせているのに休日出勤手当てもない。深夜0時まで働いても、深夜手当
ても出ていない。そして、1ヶ月1万円生活である。

外国人登録証に移っている2人の写真は、かなりふっくらとした顔つきをしている。これ
は入国時に撮影されたものだ。そして今、彼女たちはそれと比べて明らかにやせている。
このままでは体を壊してしまうのではないかと心配である。

彼女らはこうした待遇に不満を持つ一方、声を上げることをためらってもいる。中国の送
り出し期間に不動産を担保として差し出していたり、保証人を立てたりしている。その保
証人も、「公務員でなければダメ」と言われ、遠い親戚のそのまた知り合いのおじさんに
頼み込んでなってもらった。もし日本で問題を起こせば、その人が莫大なお金を取られる
ことになるかもしれない。自分とはほとんど縁がないにもかかわらず、保証人になってく
れた人にまで迷惑をかけることはできない。

それに、職場にはまだ「研修」期間中の「研修生」がいる。この人たちは労働基準法が適
用されないため、声を上げても得るものがない。「実習生」も、まだ日の浅い人は声を上
げても帰ってくるものがほとんどない。そのような中で声を上げれば、このような職場の
仲間にまで迷惑をかけることになるかもしれない。難しい問題である。僕たちとしても、
「大丈夫です。任せてください」と無責任なことを言うわけにもいかない。

こちらとしては、出るところに出た場合、一体いくらくらい請求できるのか、きちんと計
算してみようと言った。彼女たちも、それを見てから対応の仕方を考えたいと言う。

最後に、「体にだけは気をつけて」と言って別れた。二人は手を振って答えてくれた。

※個人の特定を避けるため、契約書の文言などを一部変えてありますが、労働条件などに
関する部分は(文言は違っても)すべてありのままに書いてあります。

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