2009-11-26

高校内定わずか62% 地元希望者特に深刻

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 来春の高校卒業予定者の就職戦線が超氷河期を迎えている。秋田労働局によると、採用試験の解禁から1か月後の10月末現在で、内定率はわずか62・1%(前年同期比10・8ポイント減)。本県は特に自宅から通える職場を希望する人が多く、県内企業の内定率47・9%(同14・0ポイント減)という数字は厳しい現実を物語る。就職が決まらない卒業予定者たちは今、進学かアルバイトしながら就職活動を続けるか、心が揺れている。(飯田真優子)

 25日に秋田市内で開かれた県内企業の高卒予定者向け合同就職面接会。新型インフルエンザの流行などが影響して予定より減ったが、それでも前年とほぼ同じ171人の高校生が参加。一方で、参加企業数は昨年より13社少ない19社だった。

 男鹿工業の男子生徒(17)は、これまで学校で学んだ技術を生かし、土木・製造業への就職を希望している。求人が少ないため、異業種の営業職も受けたが、落ちた。両親は「進学してもいい」と言う。だが、負担をかけないたくないので県内就職の希望は変えないが3月までに就職が決まるか心配になってきた。「ダメだったら、地元でバイトしながらハローワーク通いしかないっすかね」

 秋田商業の男子生徒(18)も、親への負担を考えて県内就職希望。しかし、クラス内でも、県外希望者は続々と就職先が決まっている。年明け以降は求人が減るため、「年内に決まらなかったら進学しようかな」と話す。

 同校では、簿記資格などを取得して事務系就職を目指す生徒が多いが、就職先が少ないために、専門学校などへの進学は増えてるという。

 厳しい経済情勢の中で採用に踏み切った企業側の目は鋭くなっている。就職面接会で、面接希望の列が最後まで絶えなかったのは、製造業から唯一参加した医療部品など製造の「フカイ工業」(工場・潟上市)のブースだった。

 同社が来春2人を採用すると決めたのは今月。昨年は高卒者の採用は無く、将来的な社内の年齢層の偏りを考えての決断だ。同社は大企業が採用人数を抑える今、優秀な人材を獲得したいとの狙いもある。

 同社管理部の小坂悟さん(42)は「厳しい情勢のわりに、希望者たちの熱意をあまり感じなかった。面接を重ねてしっかり見極めたい」と話す。

 同労働局によると、県内の10月末現在の求人数は、「IT不況」と言われた2001と02年を下回る1165人。特に県南を中心に求人が激減している。

■秋田大が高卒3人採用へ 7年ぶり非常勤で

 高校生の県内就職の冷え込みを受け、秋田大は25日、来春の高校卒業予定者3人を非常勤職員として採用すると発表した。高校卒業者を採用するのは2003年4月以来7年ぶりで、04年の法人化後初めて。年内にはハローワークで求人を公開する予定という。

 1日6時間勤務で総務課などでの事務補助を行う。給与は年間約140万円となる見込み。契約は1年ごとの更新で、最長3年。給与条件から、秋田市内の実家などから通えるのが望ましいとしている。

 同大では、正職員の採用は大卒程度であるため、働きながら、今回の採用者が構内にある通信制大学・放送大学秋田学習センターなどで学んで学士号を獲得し、4年後に改めて正職員の採用試験を受けることも想定しているという。

 同大の吉村昇学長は「進学希望がありながら、経済的な理由で断念せざるをえない高校卒業生に、キャリアアップの道を開く機会になれば」と話している。
(2009年11月26日 読売新聞)
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