◇真っ先に調整される「労働者」
中国人研修・技能実習生が、縫製業界の中で厳しい労働環境を強いられ「出稼ぎ労働者」化する現実を、6月に書いた。研修生を受け入れる白川町の会 社員男性が意見を寄せてくれた。研修生が帰国後に送ってきた礼状を紹介し、「問題は制度ではなく、受け入れ側にある」とつづっていた。
「何も話すことはない」と業者に取材を拒否されることが多かった。だが途上国への技術移転という目的に沿おうと努力し、率直に話してくれる業者もいた。
その中の1人に、羽島市の縫製会社社長がいた。これまで約110人を受け入れてきたという。「業界は、研修制度の上に成り立っている」と、労働力 をこの制度に頼っている問題を指摘。「出稼ぎ意識で来る外国人が失踪(しっそう)するのを、法令違反せずに防ぐのは難しい」などと、業界側の悩みも打ち明 けた。
来日3年目の実習生の中国人女性(29)は「日本で得た技術とお金で、中国で縫製工場を造りたい。途中で辞めたらチャンスがなくなる」と、生き生きとした表情をみせた。
国で議論が進み、「労働者」として扱う方針が固まりつつある。だが「労働者」に変わったから彼らの立場が良くなるのかは、疑問だ。
「生産調整」「雇用調整」などと、行政や経済関係の記事で当然のように使われている。現実は「調整」なんてきれいなものではない。この冬、雇用不 安が深刻化している。つい最近訪れたハローワーク美濃加茂は、外国人と日本人の求職者であふれていた。労働者が「労働力」にしか見えない一部の人々の意識 が、研修・実習生問題と今の雇用不安に共通する根なのだろう。
自動車部品工場を12月に解雇されたばかりの日本人男性は、自らの立場を自嘲(じちょう)気味に表現した。「整理、調整されてしまった」と。【稲垣衆史】=終わり
毎日新聞 2008年12月27日 地方版

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