2008-07-15

第1回 IT業界、売上の3分の1は製造と金融

:::引用:::

 こんにちは。ABCソフトウェアサービスの新人SE、江水光雄です。これから、IT業界のこと、会社のことを諸先輩方から学んでいこうと思っています。

esui_p
江水光雄(えすい みつお)

ABCソフトウェアサービスの新人SE。いまどきの若者。頼まれると断れない性格。そんな自分がときどき少し嫌なメガネ男子。23歳。
kanri_p
冠里邦彦(かんり くにひこ)

ABCソフトウェアサービスのプロジェクトマネージャ。駄ジャレ好きで気のいいオジさんだが、仕事には厳しい。お洒落を自認し、いつもベストを着用している。42歳。

江水君 冠里さん、世の中では「IT革命だ」「情報化社会だ」なんていわれていますが、いわゆる「IT業界」の売上規模って、どのくらいなのでしょう?

冠里さん 経済産業省の調べだと、IT、すなわち情報サービス業界の売上は16兆円弱ということになっていますね。

江水君 16兆円ですか! 16万円なら、僕にも実感があるのですが……。

冠里さん ほかの業界と比較してみると分かりやすいでしょう。次の図1を見てください。

図1  2006年度の業界別売上

冠里さん  ちょっと古くなりますが、2006年度の数字だと、食品業界が17兆円、アパレル業界が1兆円弱、鉄鋼業界が15兆円、医薬品業界が3兆6000億円、化 学業界が30兆円弱ですから、IT業界はかなりの規模であることが分かります。ちなみに、2000年におけるIT業界の売上は10兆円なので、わずか6年 の間に1.5倍以上も成長していることが分かります(図2)。

図2 2006年度の業界別売上→2000年度の業界別売上

江水君 一口にIT企業といっても、マイクロソフトのようにソフトウェアをパッケージ売りする企業もあれば、僕らのようにシステムを受託開発したり、システムの運用保守を専門にしたりする企業もありますよね。売上が大きいのは、どういった企業なのでしょう。

冠里さん では、次のグラフで見てみましょう(図3)。

図3 2006年度の業界別売上→2006年度のIT業界における業態ごとの売上

江水君 なるほど、受託開発を主に行う企業の売上が、圧倒的に大きいようですね。でもパッケージソフトウェアの売上も健闘していますね。運用保守(システムなど管理運営受託)とほぼ同じ規模のようです。

冠里さん 実は、パッケージソフトウェアの売上にはゲームソフトの売上が含まれているのです。図4の「ここをクリック」を押すと、パッケージソフトウェアの種類別売上が分かりますが、ゲームソフトを除くと、売上の規模は少し下がってしまいます。

図4 2006年度のIT業界の業態ごとの売上→2006年度のIT業界(パッケージソフト)における業態ごとの売上

 金融業界は大きな会社しか相手にしない?

江水君 パッケージソフトウェアは外資系が強いですからね。どうして日本人は海外ブランドに弱いのでしょう……。ウチのパッケージソフトウェアも、関係会社にしか買ってもらえないし。とはいえ、医薬品業界向けのパッケージは健闘していますけど。

冠里さん それは、日本の医療制度は欧米のそれと異なりますから、海外の医薬品業界向けパッケージソフトウェアをそのまま持ってきても使えませんしね。この機会に顧客企業別の売上も見てみましょう(図5)。わたしたちがどのようなユーザーを相手にしているのか、よく分かりますよ。

図5 2006年度のIT業界における取引先業界別売上

江水君 情報化投資に積極的なのは、製造業界と金融業界ですね。

冠里さん 製造分野は日本の基幹産業ですからね。あと、IT業界自体も情報化投資に積極的ですよ。

江水君 でも、自社内へのシステム導入プロジェクトって、失敗話も多く聞きますよね……。

冠里さん 残念ながら、そうですね。困ったことにIT企業だからといって、システム導入への理解を得やすいというわけではないようです……。それはさておき、業界としての売上規模は大きいにもかかわらず、わが社は金融業界とあまりお付き合いがありません。なぜだか分かりますか?

江水君 いや、分かりません。

冠里さん では、次の図6のグラフのを「ここをクリック」を押してみましょう。

図6 2006年度のIT業界における取引先業界別売上→2006年度のIT業界における取引先(金融・保険)規模別売上

江水君 うわ、社員が500人以上いる企業が多いですね。

冠里さん 開発規模が大きくて、ミッションクリティカルなシステムが求められる金融系の案件は、規模の小さなITベンダーは受注しにくいのです。しかもプロジェクトが失敗したら、莫大な損害賠償を請求される可能性もありますし。

江水君 そういえば最近、銀行が大手ベンダを訴えた訴訟、ありましたね。

江水君 ところで、冠里さんのお話はとても勉強になるのですが、そろそろ業務に戻りますね。期末は開発案件が立て込んじゃって……。

冠里さん それも良い題材ですね。「3月と9月が忙しい」というのも、きちんとデータに出ています(図7「ここをクリック」)。

図7 2007年度のIT業界における業態別売上→2007年度のIT業界(受託ソフトウェア開発)における月別売上

江水君 本当だ! でも冠里さん、そろそろ自分は仕事に戻らないと……。

冠里さん ITの調達予算というものは、事前に確定させることが難しいのです。だからユーザー企業は、期末なると一気に予算を消化しようとします。それで3月や9月に忙しくなるのですね。

江水君 お話はよく分かりました。これ以上席を外していると本当にマズいので、もう行きますね……!

冠里さん そうですね。わたしたちのような受託開発系企業は、お客さまがあってこそですからね。でも運用保守の受託は、開発ほどは月に左右されません。図8の「ここをクリック」を押すと、システムなど管理運営受託は、ほらあまり変化がないでしょ。だから、運用保守の仕事も重要なのです。

図8 2007年度のIT業界における業態別売上→2007年度のIT業界(システムなど管理運用受託)における月別売上

江水君 すみません、また今度! (走って逃げる江水君)

冠里さん まったく。せっかく、ためになる話をしているのに……。

●●コメント●●

0 件のコメント: