2008-07-31

独占禁止法が施行される中国

:::引用:::
 8月1日に独占禁止法が施行される中国で、米ソフトウエア最大手のマイクロソフト(MS)や、英豪鉱業大手BHPビリトンによる同リオ・ティント買収案が同法に抵触しないかどうか、審査の対象に挙げられていることが分かった。中国紙、第一財経日報が伝えたところによると、両社は中国市場において高いシェアをもち、中国企業を圧迫するとみなされている。中国独禁法の施行細則はまだ公表されていないが、外交問題や内政にからめ、対中進出する外資に同法を積極適用する方針とみられる。

(河崎真澄)

 巨大な中国市場での販売拡大を狙っている日本企業にも影響を与えそうだ。

 同紙は「マイクロソフトは独占的な地位を乱用し国内企業を圧迫してきた」などとする業界関係者の話を紹介し、調査対象になるとの見方を伝えた。欧米で独禁法違反に問われたマイクロソフトをめぐって、中国当局が独占行為の疑いで調査に乗り出したと6月に香港紙が報道し、中国当局は当時は否定していた。

 またBHPビリトンとリオ・ティントが合併した場合の中国市場での鉄鉱石シェアは約20%で、輸入量では25%を超えるという。中国商務省はBHPビリトンとすでに連絡を取っているといい、施行後初の審査対象になりそうだという。

 独禁法は公平な競争を保護するという市場経済体制にとって不可欠だが、外資の間で問題視されているのは、昨年8月末に成立してから1年近く、独占行為として規制されるガイドライン(指針)が示されていない点。施行後に状況次第で細則を決めていくという中国流のやり方に、外資は対応策を決めかねている。

 独禁法で規制されるのは独占の合意、支配的地位の乱用、事業者の集中(合併や株式取得)の3点。国務院(中央政府)独占禁止委員会がガイドラインを制定することになっている。さらに、独占の疑いのある行為を調査し、違反行為に対する処分を決定する執行機関も設立される予定だ。

 支配的地位の乱用は高いシェアを背景に、関連商品の価格をコントロールする力がある企業による不当取引を禁止する内容。高い価格での販売や低価格での原材料購入を禁じており、外資が行っている商行為も違法とされる恐れがある。またM&A(企業の合併・買収)に関しては、中国当局が国益や安全保障上問題がある、と考えた案件は、国家安全審査を行うとされている。独禁法に抵触しない案件であっても、国家安全審査で中止命令が出される懸念も指摘されている。

 日本など海外の独禁法では認められる行為でも中国では「違反」とされる恐れもあり、ガイドラインがない中で線引きが確定できないのが実情だ。ノウハウ不足による厳格な判断やアンバランスな裁定、外国資本に不利な決定が出される懸念があるという。一方でインフレ抑制が最大の課題である中国マクロ経済政策を背景に、当面は、メーカーが小売価格を指定して値引きを禁じる「再販売価格維持」や、市場価格のカルテルに独禁法運用の焦点をあてる、との見方もある。
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