2008-07-28

東北のニュータウン再生急務 高齢化と人口流出

:::引用:::
 1950―70年代に東北で開発された新興住宅団地(ニュータウン)の現状を東北産業活性化センター(仙台市)が調査・分析し、報告書にまとめた。それ によると、東北では少子高齢化や人口減少などの課題を抱える団地が目立ちはじめ、報告書は「再生の対策が必要だ」と指摘。課題解決に向けて、まちの機能維 持のための新しい地域コミュニティーの創出、人口減に歯止めをかける自治体による的確な都市計画づくりなどを提言している。

 主な調査対象は仙台市の「鶴ケ谷」(宮城野区)「富沢長町」(富沢と長町南両地区、太白区)「泉パークタウン」「加茂」(ともに泉区)、盛岡市の「松園」、福島市の「蓬莱」の6地区。報告書は主に鶴ケ谷と加茂、それに松園と蓬莱の一部について課題を指摘している。

 それによると、鶴ケ谷地区は70―80代の住民が多く、20―30代の流出が続いている。高齢化率は2005年で29.8%と高く、過疎地の秋田県鹿角郡と人口構成比が似ている。住居の老朽化も進み、公共交通機関がバスしかないことも課題になっている。

 松園地区は70年代に造成された初期の居住区で05年の高齢化率は20.4%。住民の高齢化のほか人口減、建物の老朽化、空き家の増加が目立っている。

 一方、富沢長町地区はJRと地下鉄の駅が近くにある上、幹線道路も整っており、利便性が高いと評価。大型商業施設があって買い物がしやすく、子どものいる家庭が入れ替わりながら住み着いており、将来性があるとしている。

 センターはニュータウンのある全国約80の市町村を対象にアンケートを実施し、東北とほかの地域の団地の相違点も分析。東北の団地は道路や宅地が広くてインフラが充実しているとし、「社会基盤の良さをPRし、若い世代の入居を促すべきだ」と提言している。

 調査は2007年7月、東大先端科学技術研究センターの大西隆教授ら専門家や自治体担当者でつくる委員会が着手。東北の各団地での聞き取り調査や、各種データ分析などを行ってきた。

<東北のニュータウンの現状>
▼鶴ケ谷団地(仙台市宮城野区) 初期型のニュータウン。若い世帯の流出が多い上、この世代の転入が進まず、高齢化が進む。

▼富沢長町(太白区) 市民センターや体育館など公共施設が充実。周辺の宅地化も進み、人口増加が進んでいる。2005年の高齢化率は富沢9.2%、長町南12.1%。

▼泉パークタウン(泉区) 周辺住宅地や工業団地と一体的に開発された。商店街とショッピングセンターも充実している。

▼加茂団地(泉区) 50代の人口が横ばいで、若年人口が減っている。大きな商業施設がなく、買い物の利便性が良くない。高齢化率(05年)は13.8%。

▼松園ニュータウン(盛岡市) 築30年を超す住宅が多く、大規模修繕が必要。商業用地の余地が少なく、再開発が難しい。

▼蓬莱団地(福島市) 商業施設、市役所支所など拠点施設があり、自然も豊か。団地内の高齢化率の差は大きい。高齢化率(2000年)は4.0―23.1%。
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