2008-07-28

日本語の乱れ 漢字と暗誦で国語再生を

:::引用:::
文化庁が、国語の現状を調査して今後の国語施策を進める上での参考とする「国語に関する世論調査」の平成19年度の結果が公表された。

 それによると、「国語は乱れていると思うか」との問いに、前回とあまり変わらない8割近くが「そう思う」と回答した。

 調査結果を基にした国語施策が必ずしも功を奏していないことがうかがえる。

 国語は乱れているとの意識には、若者言葉などの言葉遣いも含め、敬語など国語力全体が低下していると感じている国民の思いが大きく投影している。

 国語の習得は学ぶこと(まねをする)と習う(それになれる)ことが基本だが、今やそのモデルが必ずしもよき模範となっていないことは、子供の言葉遣いに影響を与えるものとして86%近い人がテレビを挙げていることからも見て取れる。

 外来語の増加も国語を曖昧(あいまい)にしている。幕末から明治にかけて、西欧の文物を取り入れる際に、当時の知識人は新しい概念を新しい和製漢語や古い仏教語などに注入するなどして翻訳に工夫をした。それだけの漢字活用力があったからである。

 今は戦後の漢字制限政策の影響で、西欧語を耳に聞いた大体を仮名で写すだけで意味を表す漢字に翻訳する能力を失ってしまった。カタカナ語は聞いても読んでも、元の語を知らなければ意味が正確に伝達できないから、増えれば増えるほど国語を曖昧にする。

  「檄(げき)を飛ばす」は本来「自分の考えや主張を広く人々に知らせ、同意を求める」意だが、7割強の人が「元気のない者に刺激を与えて活気づけること」 と取り違えていた。がっかりしてぼんやりしている様をいう「憮然(ぶぜん)」を、腹を立てている様子と取り違えている人も同じくらいだ。「檄」が表外字な ので義務教育期間中にこのような言葉の学習機会がなく、語感で覚えてしまうことによろう。

 国語力強化には、幼少時から言葉を学び、習う機 会をシャワーのように浴びせてやることが重要である。慣用句やことわざ、古典の名文などは早くから暗誦(あんしょう)させるのがよい。国語力衰微の根本原 因は戦後国語政策にあるといっても過言ではない。調査結果がそれを端的に物語っている。

 漢字教育の強化や暗誦教育の再評価を強く当局に望みたい。


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