2008-07-25

企業の留学生採用急増 労働人口減に危機感 海外展開へ獲得競争 大学との情報交換必要

:::引用:::
新卒の外国人留学生を採用する企業が増えている。背景には、労働人口の先細りで日本人だけでは企業の競争力を維持できないとの危機感がある。中小と大手、大学間で優秀な留学生の獲得競争が始まった。九州の企業や大学も対応を迫られる。
 東海大学(神奈川県平塚市)の外国人留学生向けに、三菱重工業や日立製作所、東京電力などが進める「原子力ビジネス人材育成」事業が、近くスタートする。経済産業省などによる「アジア人財資金構想」の一つ。
 原子力の先端技術は、技術流出や漏えいを防ぐため、外国人には門戸を開いてこなかった分野。今回「海外に原発事業を展開する上で現地技術者が必 要」(三菱重工業)という企業のニーズと、技術者養成の受け皿になりたい大学の思惑が一致。エネルギー業界注目の事業となっている。
 海外展開をにらむ大手の動きは他分野でも活発。TOTOは今春から留学生の定期採用を始め毎年3人程度採用する。JTBは人財資金構想で観光事業拡大を目指す。
 厚生労働省によると、06年の15歳以上の労働力人口は約6600万人。30年には1千万人以上減っている見通し。政府は留学生を現在の11万人から30万人に増やす方針。今月の「21世紀版前川リポート」は、留学生の就職支援強化を挙げている。
 人材派遣大手パソナの昨年の調査では、日本で就職を希望する留学生は02年調査比17ポイント増の64%。日本学生支援機構によると、06年中に卒業・修了した留学生のうち実際に日本で就職したのは26%にすぎない。
 就職が進まない理由の一つは企業と留学生双方の情報不足という。
 北九州市の真空洗浄機製造ベンチャー、アクアテックは9月、初めて留学生を採用する。堂元雅洋社長が北九州市立大学で行った環境技術に関する講 演に感銘を受けた中国人留学生が就職を直訴した。堂元社長は「どんな企業、どんな学生がいるか。情報交換の場があれば、中小も人材を獲得できる」と指摘す る。
 入社後の対応も課題。松下電器産業は4月、8項目の対策をまとめた。昇進など中期目標の明文化や異文化研修を制度化することで離職率の改善を 狙う。第一施設工業は「事業拡大につながる」として、独立資金提供を採用時に約束している。留学生を企業の将来像にどう組み込むか、模索が続く。
 (東京報道部・川合秀紀)
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