2009-12-17

使いづらい失業者支援 就労訓練に“言葉の壁”

:::引用:::
 昨年秋からの不況で厳しい雇用情勢が続いている。完全失業率は四月以降5%以上で高止まりし、有効求人倍率(季節調整値)は〇・四倍台と落ち込んだままだ=グラフ。対応策として政府は、失業者を支援する仕組みを整えた。しかし、使い勝手の悪さを訴える声も聞かれる。 (佐橋大)

 名古屋市熱田区のハローワーク名古屋南。求人を検索する六十三台のパソコンは順番待ち。検索をしていた元派遣社員の男性(42)は「求人がほとんどない」とため息をつく。

 愛知県内の自動車工場で働いていたが、三月に「派遣切り」で失業。男性には、運転免許がなく、応募できる求人は非常に少ない。

 厚生労働省はエコカー減税の効果などで生産が持ち直しているとして十月に雇用情勢の判断を上方修正したが、男性にその実感はない。非正規の仕事でも競争が激しく、ほとんど面接にたどり着けない。雇用保険の失業給付は一月に終わる。その後の生活のめどは立っていない。

 厚労省の推計では、解雇などで職を失い、雇用保険の支給が切れた状態で年末を迎える人は約二十三万人に上る。雇用保険の対象とされず、失業給付がまったく受けられない元非正規労働者も多い。

 雇用保険で救いきれない失業者を支える制度はいくつか整備された。その一つが、七月に始まった「緊急人材育成・就職支援基金」に基づく支援給付。雇用保険の支給が切れた人でも、三カ月から一年の訓練期間中、介護などの基礎技能を無料で身につけながら、単身者で月十万円、被扶養者のいる人で月十二万円の生活支援を受けることができる。

 三月に失業し、今月から愛知県安城市で介護の基金訓練を受ける男性(52)は「訓練しながら生活支援を得られるのは、ありがたい。訓練で、再就職の選択肢も増える」と話す。

 一方、制度を使えない人もいる。名古屋ふれあいユニオン(名古屋市)によると、愛知県内の三人の外国人が、日本語が話せないのを理由に、ハローワークで訓練の受講を断られた。酒井徹委員長は「生活支援を受けながら日本語の訓練を受けられれば、彼らは介護などの戦力になるのに」と残念がる。

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 他の制度との連携の悪さに悩む人も。六月に設備関連のメーカーを会社都合で退職し、二十社に応募した末、別業種への再就職が十月に決まった名古屋市の男性(37)は「保育の壁」に悩まされた。

 妻も働いている。失業とほぼ同時に、当時四カ月の長男を保育園に入れる手続きをしたところ、区の担当者から「三カ月以内に再就職できなければ、これまで通っていた長女(3つ)も含め、退園していただく」と告げられた。同様の規定は、横浜市や静岡市にもある。

 失業給付の支給は約八カ月間。「じっくり仕事を探そう」と思っていた男性は慌てた。長女は退園させられたら友達に会えず傷つくだろうと想像した。幸い、三カ月余りで採用が決まり、退園は求められなかったが「今の会社に採用されなかったら」と思うとぞっとする。「三カ月ですんなり再就職できる状況ではない。待機児童が多い事情も分かるが、再就職の支援に力を入れているのなら、保育と失業給付の期間の整合性ぐらいとれないものか」と男性は思う。

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