2009-12-17

「就活」で失うもの

:::引用:::
12月になると学生たちは「就活」(シュウカツ)で大忙しである。大学内では就職情報企業による、セミナーや講演会などが4月から毎日のように開かれ、特に3年生の後半になると、学生は会社説明会、企業訪問、OB・OG訪問、企業研究、エントリーシートの特訓と、息をつく暇がないのである。そして、ゴールデンウイーク前に早々と内定をかちとった学生は、はや勉強に関心を失ってしまう。

 1年生の間は受験戦争の終了でほっとして過ごし、2年生になってやっと勉強をはじめても、3年になったらもうシュウカツである。

 しかもサークルもアルバイトもそして学問も「何がシュウカツに有利か」が基準となりつつある。経済産業省肝いりのジョブカフェなどを含め、就職情報企業はマーケットの拡大に余念がなく「就活は早ければ早いほどよい」と、1年生を対象とした「就活メニュー」まで作ってあおり立てるので、学生たちはますます浮足だつのである。

 本を読む、旅をする、スポーツに打ち込む、映画を見る、友人と語らう、芝居や音楽に狂う、ボランティアをする…といった時間こそが人間の潜在力を培うのであって、それには落ち着いた日々が必要なのだ。

 企業にしてもリクルートスーツの着こなしや、敬語の使い方、はては電話のかけ方までセミナーで特訓された学生を欲しいとは思わないだろう。学生に求められているのは世の中を理解し説明する力を身につけることである。

 企業の採用活動は、4年生を対象とすべきであろう。学生・若者がその年齢にふさわしい時間の過ごし方を失った後に、どんな未来があるのだろう。(遠雷)
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