2009-12-24

【2009回顧】福島・縫製業者の「低賃金労働」 後絶たぬ外国人研修生の悲劇

:::引用:::
 福島県中島村の「東栄衣料」(本宮裕社長)と浅川村の「東栄浅川縫製」(本宮誠社長)の縫製業者2社が、ベトナム人女性の外国人研修生らからパスポートを取り上げ安い賃金で働かせていたことが6月、発覚した。国会でも取り上げられるほど深刻な問題となったが、なぜかなくならない。解決に動いている坂本恵福島大准教授とともに、問題を振り返った。(土樋靖人)

 坂本准教授が東栄衣料問題を知ったのは6月5日。愛知県内の労組の知人から「ベトナム人研修生を送り出した業者が『東栄衣料の研修生に給料が払われず、困っている。何とかして』と連絡してきた」とのメールが届いた。

 坂本准教授はすぐさま、郡山市の行政書士らとともに現地へ赴き、研修生らから話を聞いた。その結果、パスポートの取り上げや給与の未払い、最低賃金法違反の事実を確認。福島労働局や白河労働基準監督署、仙台入国管理局に伝えた。同時に、外国人労働者問題の取材を通じて知っていた産経新聞福島支局の小野田雄一記者(現東京本社)にも知らせた。小野田記者は研修生や本宮裕社長に取材し、同月16日の紙面に掲載、反響を呼んだ。

 坂本准教授らの調べによると、ベトナム人女性の研修生と技能実習生計9人は平成18年7月から11月にかけて来県。会社に隣接した粗末な寮に押し込められ、朝8時ごろから夜10時ごろまで、土・日・祝日も関係なく働かされた。時給は平均して300円と、最低賃金の半分以下。さらに、積み立てという表現で、給与から毎月2万円ずつ天引きされていた。天引きされていた賃金と最低賃金との差額分、残業代の不足分を合計すると、1人約310~370万円に上った。

 ■依然残る未払い金■

 日本に半年以上いる人は健康保険に入らなくてはならないのに、健康保険証を持っている者は1人もいなかった。体調を崩しても、ほとんど病院に連れていってもらえなかったという。

 事件発覚後、研修生らのうち8人は県労連の提案を受けて労組に入り、会社側と団体交渉を開始。未払い金の一部を取り戻した。ビザが切れ、既に帰国しているが、残りの未払い金の不足分の支払いを求めて係争中だ。

 外国人研修生らを安い賃金で働かせる問題は、根が深い。

 一昨年には、田村市の婦人服製造業「ファッション緑」も同様の不正行為を働いていたことが明らかになった。研修生を受け入れていたのは、今回と同じ「県南繊維協同組合」だった。

 研修生も2年目からは労働基準法の適用を受ける労働者となり、給与額がはね上がる。ファッション緑は給与明細書を出していたため、天引きの額などが白日の下にさらされた。

 東栄衣料と浅川東栄縫製は、このことを“教訓”にしたのか、2年目からは給与明細書を研修生らに渡していなかった。悪質の度が進んでいた。

 ■支援組織立ち上げへ■

 なぜ、このような問題が後を絶たないのか。坂本准教授は「外国人研修・技能実習生制度自体に問題がある」と訴える。

 同制度は「日本の技術を研修生らに学んでもらい、技術移転をする国際貢献」として施行され、平成5年からは小さな会社でも何社か集まって組合をつくれば、研修生らの受け入れができるようになった。だが、安い労働力を確保する手段に使われているのが実態だ。

 坂本准教授によれば、ほとんどの不正行為は団体受け入れのケースで起きていて、「規制強化すべきだ」と主張する。一方で、「違法行為と分かっても、手を染めざるをえない経済的状況を考慮して、経営が成り立つ施策を行政が採るべきだ」とも。

 坂本准教授は来年1月、社団法人国際女性教育振興会福島県支部や労働組合、中小企業団体、弁護士らとともに、外国人研修生らを支援する「地球市民の働き方ネットワーク」を立ち上げる予定(別稿参照)。県には、外国人の受け入れに対する施策の検討を働きかけるとしている。

 坂本准教授は「帰国した研修生へのサポートを継続していきたい」と語る。現在は、彼女らのベトナム国内での就労支援を展開。現地での支援組織をつくっているところという。

         ◇

  ■地球市民の働き方と地域社会の未来 「共に築くゆたかな未来をめざして」をテーマに、来年1月23日午前10時から、福島県三春町のまほらホールで開催。主催は県男女共生センターと福島大学。元参院議員で弁護士の大脇雅子氏が講演するほか、(1)外国人労働者と自治体の取り組み(2)企業経営と外国人労働者受け入れ(3)地域医療と外国人看護師(4)文化交流・コミュニケーション-の分科会を開く。参加無料。問い合わせは(電)080・3338・0505。
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