2009-09-25

ドキュメンタリー映画:元新聞記者・酒井充子さん「台湾人生」を初監督 /山口

:::引用:::
◇「日本語世代」に向き合う
 ◇「愛憎半ば、思い感じて」--来月、出身地の周南市で上映

 周南市出身の元新聞記者、酒井充子(あつこ)さん(39)=東京都在住=が、日本統治下の台湾で日本語教育を受けた世代の証言を記録したドキュメンタリー映画「台湾人生」を初監督した。6月の東京を皮切りに各地で公開され、10月10、11日には周南市のシネマヌーヴェルで上映される。愛憎相半ばする日本への複雑な思いを優しいまなざしで受け止めた酒井さんは「台湾の日本統治は遠い過去ではなく、今に続いていることを感じてほしい」と話している。【内田久光】

 酒井さんは周南市の旧熊毛町出身。徳山高校、慶応大を卒業し、96~00年に北海道新聞社で記者を経験した。

 映画の道に進むきっかけは、98年夏に初めて訪れた台湾での年老いた男性との出会いだった。「敗戦で日本に引き揚げた先生に会いたい」。バス停で話しかけられた言葉は日本語。立ち話でとうとうと語る姿に、台湾の「日本語世代」への関心をかきたてられた。

 02年から現地で取材を始め、映画が完成したのは08年。足かけ7年で50人以上から話を聞いた。「最初は物語を作るつもりで、監督する気もなかった。でも途中で、独特の日本語で語られる話を物語にするのはもったいないと思った」。記者時代と同じスタンスで記録した映像は100時間分。それを81分の映画にまとめる編集作業は「魂を込めて語られた言葉を削るのは、身を切るようにつらかった」と振り返る。

 映画で登場するのはいずれも1920年代後半、昭和の初めに生まれた元日本兵ら男女5人。酒井さんは「これからも台湾にこだわり、『日本語世代』の思いを受け継いでいるのか、孫の世代にも話を聞いていきたい」と話している。

 周南市・シネマヌーヴェルでの上映は、10月10日が(1)午前9時半(2)午後1時半(3)午後7時の3回、11日が(1)(2)の2回。
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