2009-08-20

高齢化するニート 中年層対策、国も模索

:::引用:::
さまざまな原因で求職活動をしないニートに、“高齢化”の兆しが見られる。両親に経済的な支援を頼りながら生活し続けるうちに30代後半~40代に突入してしまい、今度は両親が病に倒れ、家族が崩壊寸前に陥るケースも出始めている。厚生労働省は今春、ニート支援の対象年齢を35歳から40歳までに引き上げ、中年層ニートへの対策を模索し始めた。(清水麻子)

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 千葉県船橋市の荒井均さん(41)は、ニート歴が約20年と長かった。

 「高校受験に失敗し、自分の部屋に引きこもるようになった」という均さん。戦車などの軍事関係には興味があるものの、友人はおらず孤立化していた。

 両親は均さんを心配し、何度も働くよう促してきた。しかし、均さんは生活を変えられなかった。両親は均さんに、部屋や3食の食事の提供など生活支援もし続けてきたが、母は平成4年にがんで死亡。18年には父がやはりがんで寝たきりになり、間もなく他界した。

 両親に代わって均さんを支えるようになったのは自営業の兄、敏夫さん(50)だった。「父の介護は辛(つら)くて、『今、死んでくれたら…』と思うこともあったほど。父が他界したら今度は弟の世話。音を上げそうになったのを助けてくれたのが支援機関だった」と、敏夫さんは振り返る。

 たまたま、ニートの若者に自立を促してくれる「若者自立塾」のことを放映しているテレビ番組を見た。3カ月間の集団生活を通じて生活のリズムを整えてくれるという。さっそく近くのNPO法人「ニュースタート事務局」(同県市川市)を探し、申し込んだ。

 入塾時、均さんはすでに37歳。「最初は若い人が多く、ほとんどしゃべれなかった」という均さんだったが、次第に人と接することに慣れ、現在は週に6日、配送会社で働きながら生計を立てている。

 ニュースタート若者自立塾の村上俊・実施責任者は「両親は何十年も子供の顔を見ないで食事だけ部屋に運び、将来の話すらしないため、子供はずるずると長くニート状態を引きずってしまう傾向にある。一方で、最近は派遣切りなどにあい職を失った中年層が、なかなか職を見つけられず、そのままニートになってしまうのでは、と心配した親御さんからの相談が増えている」と話す。

 ニュースタート事務局によると、35歳以上のニートは、若者自立塾の過去の入塾者の1割、通いながら就労意欲を身につける「地域若者サポートステーション」(サポステ)の参加者の2~3割という。                   ◇

 ■35~40歳 15年間で1万人増加

 ニートの高齢化への対策は急務だ。総務省の就業構造基本調査(平成19年、男女計)によると、ニートの定義を超える35~40歳の中年の無就業者は全国で約16万3000人。この年代が20~24歳だった4年(約15万3000人)と比べると、15年間で約1万人増えたことになる。

 労働政策研究・研修機構の統括研究員、小杉礼子さんは、「バブル崩壊後、就職氷河期に入った5年に大学を卒業した人たちが40歳近くになったことが、数を押し上げている大きな理由。20代前半に、何らかの理由で働かない状態が続くと、自信を失い労働市場に入るのが難しくなる。また、企業側も20代から職歴がないまま中年になった人の採用には慎重になるので、ニートから抜け出せない悪循環にはまってしまう」と指摘する。

 小杉さんは「家庭内だけで抱えてしまっているケースは多いが、早いうちに支援機関に行き着けば希望が見つかるケースが多い」とも指摘。その上で、「最近は支援機関に出向けないような家庭に専門職などが出向いて援助をしていく『アウトリーチ』という手法が一部で進められている。こうした手法を全国に広げ、ニート問題を抱える家族の孤立化を防いでいくべきだ」と支援の拡大を呼びかける。

 また、「中年層ニートの中には一挙に自立できる仕事に就くのは難しい人も多く、アルバイトや社会参加的な働き方から始めることも必要。福祉施策との組み合わせが必要な場合もある」と話す。

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 今年4月から全国の若者自立塾、地域若者サポートステーションでは、40歳前後の人も受け入れている。支援機関の情報は(http://www.jiritsu-center.jp/)。

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【用語解説】ニート

 中学や高校、大学を中退・卒業した後、働かず、家事もせず、学校にも行かず、求職活動もしない15~34歳の若者。

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