2009-08-20

金融都市・上海の下克上 韓正市長、市場の暴走制御に自信

:::引用:::
 上海の韓正市長には、同市をアジアで最大の金融センターにつくり変えることが期待されている。同市長はこの負託に何としても応えるつもりだが、そのためには金融業界のいわゆる「アニマル・スピリット」の制御が必要になりそうだ。韓市長はブルームバーグのインタビューに応じ、決意を語った。

 「金もうけの話になると、金融界の人ほど良心に欠ける人たちはいない。私がこう言うことで、多くのバンカーや投資家を怒らせてきたかもしれないが、私自身の実感だ」と述べた。

 ◆中国のジレンマ

 韓市長の懸念は、中国の指導者の多くが感じているジレンマと符合する。もともと中国には、商人を蔑視(べっし)する儒教的思想が存在した。学者を最上位とする儒教的な社会序列では、みずから物を生産しない商人は、農民や職人の下に置かれていた。1949年に中国共産党が権力を握ってからというもの、蔑視はあからさまな敵視に変わった。

 韓市長は、欧米の銀行を過度のリスクテークに走らせ、1兆6000億ドル(約152兆円)の損失の元凶となった「アニマル・スピリット」に言及し、上海ではこれを制御するために規制や法律を考え出していく必要があると述べた。

 中国政府は4月、20年をめどに上海に国際金融センターの役割を担わせるとの計画を発表した。これは、今まで英国から統治権を返還された香港が果たしていた役割だ。韓市長は「とても挑戦しがいがあり、戦略上重要なミッションだ。さしあたり、基本的な問題に集中しなければならない」と述べ、例として人民元の自由兌換(だかん)制度、国際標準と整合性のある法体系、香港の2倍の水準にある税の軽減の必要性を挙げた。

 ◆海外からプロ招聘

 韓市長は、海外から金融のプロを積極的に呼び込むことも検討している。上海では約23万人が金融業界で働いているが、同市のデータによると、08年の彼ら1人当たりの経済生産は9万1000ドル。一方、国家統計局の07年のデータによると、香港では金融業界の人口は上海とほぼ同じだが、1人当たりの経済生産は20万ドルだ。こうした点に、両都市の人材の差が出ている。

 ニューヨークにはさらに大きく差をつけられている。香港金融管理局の06年の論文によると、ニューヨーク市の証券業界は、香港の2倍の人材で10倍の経済生産を挙げている。

 韓市長は、現時点で香港やニューヨークに大幅なリードを許していることを認めつつも、「上海は必ず急速な成長を遂げる。そのスピードは確実にニューヨークや香港を上回るだろう」と自信を見せた。上海経済の今年4~6月期の成長率は7.9%。過去30年では50倍も拡大している。

 約1900万人の人口を抱える上海には、中国2大証券取引所の一つ上海証券取引所が本拠地を置く。7月には中国建築工程公司が過去1年で世界最大となる新株公募を行い、73億ドルを調達した。同証取には、時価総額で世界最大の企業ペトロチャイナや、世界最大の商業銀行、中国工商銀行が上場している。

 さらに、上海証取は外国企業の上場を解禁する方向で準備を進めており、上海で1865年から事業を展開する英銀HSBCホールディングスなどが上場候補となっている。

 韓市長との会談を予定しているHSBCの中国部門の責任者、リチャード・ヨーク氏は「中国の指導者は他国の出来事を研究し、そこから教訓を学ぶことに優れている」と評価した。(John Liu、Chua Kong Ho)
Bloomberg
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