2009-08-24

日本の常識が通用しない中国携帯電話市場

:::引用:::
 2008年末で6億4100万契約もの巨大な携帯電話市場を持つ中国。ただし,総人口13億を抱える同国の携帯電話の人口普及率は,48.5%ほどでしかない。携帯電話の契約数は今なお毎月約800万件のペースで増えており,世界中の携帯電話関連企業にとって非常に魅力的な市場である。

 一方で中国は国外企業が攻めにくい市場だ。国の政策でその市場環境が大きく変わるからである。通信事業者はすべて国営であるうえ,通信事業を国家発展の柱に据えているため,通信事業に対する政府の介入の幅が大きい。中国政府の動向に気を配り続けなければ,中国の携帯電話市場での成功はおぼつかない。

 中国政府が携帯電話産業に介入する際には,「事業者のバランスに配慮した競争」と「自国技術の保護」を考慮して政策を実行する。この二つを頭の片隅に置けば,中国市場は見通しやすくなる。
携帯・固定・ネットで3社に集約

 中国の競争政策の最たるものは,2008年5月に発表された通信事業者の再編と,その後に実施された第3世代携帯電話(3G)サービス免許の交付だろう。再編の方針は,既存の通信事業者6社を中国移動(チャイナ・モバイル),中国聯通(チャイナ・ユニコム),中国電信(チャイナ・テレコム)の3社に集約するというものだった(図1)。
図1●中国の通信事業再編
図1●中国の通信事業再編
6社を3社に再編し,すべての事業者が固定電話,携帯電話,ブロードバンドを持つようにし,中国全土で競争ができるようにした。

 具体的には,携帯電話契約数で7割,売り上げで8割以上のシェアを持つ中国移動に,固定電話で6.3%,ブロードバンドで4.3%のシェアしか持っていなかった中国鉄通(チャイナ・レールコム)を割り当てた。携帯電話で2番目の21%のシェアを持つ中国聯通には,固定電話で30.4%,ブロードバンドで34.9%のシェアを持つ中国網通(チャイナ・ネットコム)を統合した。そして,固定電話で63.3%,ブロードバンドで60.8%という大きなシェアを持つ中国電信には,携帯電話ではわずか4.8%という中国聯通のcdmaOne部門を割り当てた。同時に中国衛通(チャイナ・サットコム)の固定電話とブロードバンドの部門も中国電信に組み込んだ。

 このように3社それぞれが固定電話,携帯電話,ブロードバンドの免許を保有,全国レベルで競争できるようになった。政府主導で事業者を再編できるのは,すべての通信事業者を国が所有する中国だからこそと言える。

 2009年1月7日には,中国政府が再編後の事業者3社に3Gの免許を割り当てた。中国移動には中国独自の「TD-SCDMA」,中国聯通には「W-CDMA」,中国電信には「CDMA2000」と別々の方式を採用させることにした。
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