2009-08-20

派遣業者倒産 1~7月47件 過去最悪ペース 縮む労働市場 零細淘汰が加速

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 労働者派遣業者の倒産が、急増している。東京商工リサーチのまとめによると、今年1~7月の倒産件数は前年同期比56.6%増の47件。今後もこのペースで推移した場合、今年は過去最多だった昨年の56件を上回る可能性が高いとみられ、更新すれば4年連続となる。派遣業者には資本力の弱い会社が多いだけに、製造業を中心とした「派遣切り」が急増した結果、派遣労働市場の縮小に伴う業界の淘汰(とうた)が加速しているようだ。

 7月時点での派遣業者の負債総額は、前年同期比72.8%増の50億2200万円。負債10億円以上の大型倒産の発生が1件もなかったのに対して、1億円未満の倒産が同54.5%増の34件と全体の72%を占めたことが特徴だ。

 規制緩和を背景に広まった労働者派遣だが、急拡大の引き金は04年の製造業派遣の解禁といわれる。厚労省の調べによると、04年の約3万事業所から06年に約5万1000事業所に増えたという。参入障壁が低いことから「資本力がなくても参入できたことも増加に拍車をかけた」(派遣大手)面もある。

 欧米やアジアの経済成長が続いた景気回復局面には、製造業を中心に人材のニーズが高かった。しかし、昨年秋の「リーマン・ショック」をきっかけに世界的な需要が急速にしぼんだとたん、派遣労働者を受け入れた企業が契約を中途解除する「派遣切り」が拡大。零細な派遣業者の経営を直撃した格好だ。

 それを象徴するように、倒産原因のうち「販売不振」が前年同期の約3倍増加。会社更生法や民事再生法のような再生型の倒産を選択できず、約8割が破産に追い込まれている。

 日本人材派遣協会のまとめた「労働者派遣事業統計調査の報告」によると、派遣スタッフ実稼働者総数は08年に02年の調査開始以来初めて前年実績を割り込んだ。09年4~6月期も前年同期比で約2割減るなど、派遣労働者をめぐる雇用環境は一段と厳しさを増している。

 政府の「景気回復宣言」や、4~6月期のGDP(国内総生産)も回復を裏付ける上昇傾向を示す一方、製造業派遣の禁止を求める動きもくすぶっている。今月30日投開票の衆院選の結果次第で、規制強化が進む可能性もあるため、東京商工リサーチは「今後さらに派遣市場の縮小が続けば、業界の淘汰と再編は避けられない」と分析している。(石垣良幸
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