2009-08-20

不法滞在アフリカ人急増 中国、資源外交に暗雲

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 【広州(中国広東省)=小坂井文彦】国内に少数民族問題を抱える中国で、新たな民族問題が生まれている。広東省に不法滞在する数千のアフリカ人で、警官から恐喝されたとして、警察署前でデモを起こす事態にも発展した。新たな“民族対立”は、中国政府が進めるアフリカ諸国との資源外交に影響を与える可能性もある。

 広州駅近くの広園路。集中する衣料品店を目当てに四、五年前から貿易商が集まり、アフリカ人街が形成された。安い衣料や建設機材を本国に送れば、利ざやを稼ぐことができるためだ。ビザ失効後も商売を続けるナイジェリア人男性(30)は「中国人はわれわれを『黒鬼』と呼ぶ。犬と同じような目で見るんだ」と怒った。

 今月十五日、男性の友人が警察に追われ、ビルから飛び降り、重傷を負った。男性は、「警官が定期的にカネをせびりに来るから逃げたのさ。おれも(見逃す代わりに)一万三千元(約十八万円)を払わされた」と言う。

 違法な取り締まりに怒ったアフリカ人数百人が同日、警察署を包囲し「人間的な扱いをしろ」と抗議した。翌日から摘発が厳しくなり、二十八日には、見せしめのため、警官が不法滞在のアフリカ人を電柱に縛りつけたという。

 昨夏の北京五輪を契機に、ビザ延長が難しくなった。この男性も観光ビザ組だが、「中国人もアフリカで稼いでいる。(不法滞在は)お互いさまだ」と悪びれずに言う。

 商売に失敗し、ドラッグの密売に手を出すアフリカ人もいるという。中国メディアによると、日給百元と最低レベルの肉体労働に従事したり、物ごいをする人もおり、中国人の彼らを見る目は厳しくなる一方だ。地元の女性(28)は「黒人のせいで治安が悪化した。出ていってよ」と言い放った。

 地元の親善団体・中国ナイジェリア会のウジュク・エマ会長(37)は一部犯罪者の行動が全体のイメージとして定着することを恐れる。

 「まず、法律違反の不法滞在者を帰国させたい。その上で、中国当局とビザ延長の緩和について話し合いたい」と強調した。

 <中国とアフリカ> 中国の税関統計によると、2008年の中国とアフリカ諸国との貿易総額は約1068億米ドル(約10兆1500億円)で、1998年の約19倍。中国はアフリカへの援助と引き替えに原油や希少金属を得る「資源外交」を強引に進めており、批判を浴びている。アフリカ人は貿易商ら2万~3万人が、輸出品工場の集中地帯である広東省広州市周辺に定住。アフリカで人口最多のナイジェリアから約7000人が来ているという。

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