2009-04-24

日本製ソリューションを中国で販売へ 中国ソフト会社、サイノコムの新戦略

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中国の有力ソフト開発会社であるサイノコム・ソフトウェア・グループが、中国市場向けに日本製ソリューションの販売を検討し始めた。日本からのオフショア開発の事業だけでは成長に限界があると判断し、新しい事業を立ち上げる。

 2009年1月、同社はサイノコム・グローバル・ソリューションズを日本に設立し、元NEC執行役員の矢部眞一氏を社長として招いた。同氏は、NEC時代に金融関連をはじめとするさまざまな大規模プロジェクトに参画した経験を持つ。

 サイノコムの設立は95年。当初、日本向けオフショア開発の事業は小さかったが、どんどん成長してきた。日本の開発モデルを学び、品質管理などにも注力したことが奏功した。今ではオフショア開発が主力事業になり、実績が認められて中国で表彰されたこともあるという。

 現在の社員数は約3300人に達し、07年度の売上高は5億6450万香港ドル(1香港ドル=12.5円換算で約71億円)。当期純利益は1億1765万香港ドル(同約15億円)で、純利益率は21%になった。

 同社の成長パターンには、日本のソフト開発会社と似ている面がある。ソフト開発の需要拡大を背景に、大量の技術者を採用して売り上げを伸ばしてきたことだ。ただし売り上げの9割を占めるのが日本からのオフショア開発であり、日本市場の動きに業績が左右されてしまう。好業績の今こそ研究開発に投資を振り向け、オフショア開発という単一ビジネスモデルからの事業構造の転換を図るべきというわけだ。

 矢部社長は、「オフショア開発だけで飯を食うのではなく、オフショア開発で培った技術やノウハウを生かした新しい事業を育てていく」と意気込む。

 こうしたなかで有力な候補として浮上したのが、日本製ソリューションを中国市場で販売する事業だった。例えば、金融のリテールに強いといった日本製ソリューションの優れた点を訴求すれば、中国市場でも受け入れられると考えたのだ。

 詳細を明らかにしないが、矢部社長は「日本製ソリューションを中国企業でも使えるように進化させることから着手する」と話す。

 実施に向けて、まずはソリューション選定とパートナー作りを推進していく。最初に狙うのは金融分野のようだ。「日本の金融商品やサービス、営業店システムなどの仕組みを展開できるようにしたいので、日本のソリューションの良さを理解しているパートナー企業と組みたい」(矢部社長)。パートナー候補は、ソリューションの中核になるパッケージやフレームワークの開発ベンダーなどになりそうだ。

 グローバルな金融機関向けには、海外でのビジネスノウハウを持つインドIT企業のフレークワークを使えばよい。これに、日本企業のリテール向けアプリケーションや中国のオフショア開発を組み合わせるといったパターンがあるという。

 ソリューションを利用しているユーザー企業さえもパートナー候補の対象にしている。矢部社長が重視しているのは、日本企業のどういった部分に中国企業が大きな関心を示しているのか、を理解することだという。

 「中国の金融機関が求めているのは、日本の金融商品やサービス、営業店などのビジネスの仕組みであって、必ずしもシステムだけを求めているわけではない。新しい事業を始めるに当たり、ベストパートナーとして誰と協業すべきか、何を売り物にするのかを見極める必要がある」(矢部社長)。

 ユーザー企業が目指すビジネスモデルを実現させるためには、日本や中国だけでなく、さまざまな企業とアライアンスを組むこともいとわないという。日本市場も中国市場も熟知しているサイノコムだからこそ、最も強みを発揮できる部分である。
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