2009-04-20

【主張】少子化対策 「国家存亡の危機」共有を

:::引用:::
日本は世界で最も少子高齢化が進んでいる国だ-。政府の平成20年度版「少子化社会白書」はこんな警鐘を鳴らした。

 白書によると、20年の人口推計で総人口に占める65歳以上が22・1%を占めたのに対し、14歳以下は世界でも低水準の13・5%となった。17年に過去最低の1・26にまで落ち込んだ合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供の平均数の推計値)が19年には1・34と2年連続で微増となった点についても、「決して楽観できない状況」と指摘した。

 政府の推計によると、日本は今後本格的な人口減少と少子高齢化時代を迎える。わずか50年ほどで総人口は3割近く減り、9000万人を割り込む。年間出生数は現在の約110万人から激減し、46万人弱となる見込みだ。年齢構成も大きく変わり、65歳以上の割合は40%を超す。少子高齢化問題はまさに「国家存亡の危機」といえよう。国民一人一人がこうした危機意識を共有したい。

 このままハイペースで少子高齢化が進めば、さまざまな問題が起こる。労働力不足によってさまざまな産業で需給バランスが崩れ、日本経済そのものが機能不全に陥りかねない。世代間の支え合いを基礎とする社会保障制度も立ちゆかなくなるだろう。

 地域によって抱える課題が異なることも問題だ。総務省が発表した人口推計では、40道府県で人口が減り、東京など都市部への人口集中が続いていることが浮き彫りになった。人口が減る自治体が財政破綻(はたん)の危機にさらされるとの懸念がある一方で、都市部では高齢化の加速に行政サービスが追いつかなくなるとの予測もある。

 政府のこれまでの対策は年金や医療など高齢化社会への対応を優先しがちだった。だが少子化の勢いを緩めなければ、やがて多くの政策が機能しなくなろう。今後は少子化対策にもっと予算配分をすべきだ。政府には、少子化対策を「未来への投資」ととらえ、過去の常識にとらわれない大胆な対策を講じるよう求めたい。

 政府の調査では未婚者の9割は結婚したいと思っており、男女とも「2人以上の子供を持ちたい」と考えているという。こうした国民の希望をいかにかなえるか。

 団塊ジュニア世代も30歳代後半に入った。少子化対策は待ったなしだ。国民総がかりで危機の克服に臨みたい。
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