2008-05-19

欲求が満たされない社員は逃げていく

:::引用:::

 新入社員が入社して早くも1カ月が経った。現場に配属し始めた企業も多いのではないか。新入社員を受け入れる部署の管理職の方々には、どうか育成という課題に果敢に挑戦していただければと思う。

 そこで今回は、人材育成の基礎である「人材の定着化」をどう高めていくべきなのかをお話ししたいと思う。なぜなら、人材育成のための教育プランがあったとしても、人材が定着しなければ絵に描いた餅になってしまうからだ。

 氷河期から、売り手市場になった就職事情。厚生労働省の調査によると、2007年度の大卒内定者数は、33万1000人、内定率は81.6% (2007年12月現在)という。一方で、“3年3割”といわれる新入社員の定着率。ようやく一人前になったと思ったころに、あっさりと退職届を出されて しまった経験を持つ管理職の方もいらっしゃるのではないだろうか。

 安くない採用・育成コストを掛け、そのコストを回収できないままに退職されるほど、企業にとって残念なことはない。また人情的に言っても、「続けていけば、もっと仕事が面白くなるのに」などと、辞めていく人たちの経験・成長を考えると、親心が働いてしまう。

 若い世代で転職が当たり前になった背景のひとつに、転職サイトや人材紹介会社の普及がある。誰でも手軽に転職情報を検索できるようになった。転職 サイトや人材紹介会社では社内価値よりも市場価値に興味を持たせるような、転職ニーズを喚起させる仕掛けがしてある。ビジネスで考えれば、企業ニーズと転 職希望者のニーズをうまくマッチングさせる機能を果たすという、社会的価値のあるビジネスである。

 このように、外部には転職しやすい環境が整っている中で、管理職の方は新入社員と毎日どう接していくべきなのだろうか。

 答えは、「人間の基本的欲求」満たしてあげることである。「人間の基本的欲求」とは、マズローが提唱している欲求5段階(下図参照)のことだ。 「自己実現」は基本的欲求(生理的欲求、安全と安定、所属、承認)が満たされて初めて達成される。夢や希望を抱いて入社する新入社員の中には、すぐに「自 己実現」ができると思っている人がいるのではないだろうか。

マズローの人間の成長<出典:フランク・ゴーブル『マズローの心理学』(産能大学出版部)p.83> マズローの人間の成長<出典:フランク・ゴーブル『マズローの心理学』(産能大学出版部)p.83>

 しかし、仕事というものは、入社してすぐの新入社員が思い通りに仕事ができるほど、簡単ではない。スキルや経験などの不足から、仕事ができないと感じることの方が普通である。

 すると、新入社員は会社や自分の所属する部署に対して貢献できていないと感じる。具体的には、「人間の基本的欲求」の「所属」と「承認」が満たさ れない状況に陥ってしまう。欲求が満たされない状況はとても不安であるため、自分が思い描く仕事の成果が出せない原因を自分以外に求めることになる。

 結果、会社や上司に対する不満が募っていく。この不満な状況に我慢できなくなると、退職してしまう。やや短絡的かもしれないが、おおまかに言えばこのようなことでないかと思う。

 人間が「自己実現」の状態に到達するには、基本的欲求(生理的欲求、安全と安定、所属、承認)が満たされて初めて達成されるということを、管理職は肝に銘じておいてほしい。

 次回は管理職として、部下の日々のマネジメントに生かす具体的な方法をお伝えしたいと思う。


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