2008-05-26

四川大地震が襲った新興オフショア拠点、成都の被害状況

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中国四川省で発生した大地震の震源地に近い成都も、他の大都市と同じように世界経済と密接につながっている――5月12日の大地震発生直後、四川省の省 都・成都からはミニブログの「Twitter」をはじめ、多数のブログ、企業の電子メールを介して地震関連のニュースが飛び交った。

Patrick Thibodeau
Computerworld米国版

  成都は他の中国主要都市と比べると知名度は若干落ちるものの、成都市内の経済発展区で盛んなITサービス産業は、現在多くの米国企業が注目するところだ。 1906年のサンフランシスコ大地震とほぼ同じ規模であったマグニチュード7.9の大地震は、急成長を遂げるこのソフトウェア開発拠点に大きな被害を及ぼ した。

 四川大地震とその犠牲者に関するニュースはブログの世界にも広まった。Twitterを通じてリアルタイムで情報を得たというIT分野の著名ブロガー、ロバート・スコーブル(Robert Scoble)氏は、そのときの様子を自身のブログで紹介している。


 世界主要都市のローカル・ブログ・サイトを展開する米国Gothamistの上海版「Shanghaiist」サイトでは、四川大地震関連のビデオ・リンクを提供したり、地震発生当時の様子を分単位で伝えたりしており、地震発生直後の国営新華社通信上海支局のIT部門の写真も掲載している。

  米国メリーランド州ロックビルと中国の北京に拠点を置くIT開発企業のSymbio Groupは、成都市のTianfu Software Parkで働く同社エンジニア100人は全員無事だったと伝えた。ただ、市内にある多くの店舗やレストランは閉店したままだという。同社の事業開発担当エ クゼクティブ・ディレクター兼バイスプレジデントを務めるキース・マツナミ(Keith Matsunami)氏から寄せられた(5月12日付けの)電子メールによれば、携帯サービスは停止状態のようだがインターネット接続はおおむね機能して いるという。

「次なるオフショア拠点」として急成長を遂げる成都

 北京にあるSoftek ChinaのCEOで『Source Code China』 の著者でもあるシリル・エルシンガー(Cyrill Eltschinger)氏は、成都を「アウトソーシング・サービス拠点として急成長している都市」と評す。同氏は電話インタビューの中で、中国政府は成 都近辺の大学からIT関連専攻の卒業生を積極的に採用し、強固なITサービス基盤作りに取り組んでいると説明した。「毎年レベルの高い優秀な卒業生を生み 出すこの地域は、非常に魅力的だ」(Eltschinger氏)

 中国内におけるITサービス・プロバイダーとしての現在の成都は、北京や上海といった主要都市に次ぐ存在となっている。

  ただ、中国全体のソフトウェア開発サービス産業は、「今なおインドに大きく水を開けられたままだ」とアウトソーシング・コンサルティングを手がける米国 NeoITのアナリスト、ディーン・デビソン(Dean Davison)氏は指摘する。同氏によると、世界ソフトウェア開発市場の約70%を占めるインドに対し、中国のシェアは10%未満という。

 「中国政府がこの産業の発展に注ぐ力の入れようを見るかぎり、中国はいずれ世界の主要オフショア拠点になるだろうが、事業法、文化、政治などの違いが発展を阻む障壁となるかもしれない」とDavison氏は言い添えている。


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