2008-04-18

介護:外国人受け入れ、現場は歓迎と不安 人手不足に光/高い言葉の壁

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インドネシアとの経済連携協定(EPA)が衆院で承認されたことで、外国人労働者に対し、看護師、介護福祉士の門戸が開かれる。介護職員不足に悩む 老人福祉施設からは歓迎の声が上がるが、一方で日本語の読み書きができないことなどに対する不安や「受け入れは拙速」と反対する声も根強い。【外国人就労 問題取材班】

 午後2時45分。東京都墨田区にある特別養護老人ホーム「たちばなホーム」でおやつの時間が始まる。「おじいちゃん、起きて食べる?」。2級ヘルパーでフィリピン国籍の金子ローデスさん(36)はお年寄りを車椅子に座らせると、ゼリーとスプーンを手渡した。

 8年前に日本人と結婚して来日、就労制限のない永住権を持つ。「フィリピンではお年寄りは神様と同じ。ここでずっと働きたい」とほほ笑む。

 施設でフィリピン国籍のヘルパーが最初に働き始めたのは05年5月。羽生隆司施設長は「日本人の募集をしても、ぴたりと人が来なくなった。困って いるところにヘルパーの資格を持つ在日フィリピン人がいると知った」と振り返る。現在は金子さんを含めて3人が働く。「大助かり。インドネシアからでもど んどん来てほしい」

 しかし、不安もある。金子さんの時給は、1人で夜間勤務をこなせる職員に比べて200円安い。漢字の読み書きができず、全入所者の状態を日々記録するパソコンへの入力ができないからだ。

 インドネシアからの希望者は、来日3~4年間で看護師か介護福祉士の国家試験に合格しなければ帰国せざるを得ない。羽生施設長は「試験に合格できなければ使い捨てになる」と心配する。

 ◇「日本人で対応可能」 看護協会、介護福祉士会が反対

 インドネシアからの看護師、介護福祉士受け入れに、日本看護協会(約58万人)、日本介護福祉士会(約5万5000人)はそろって反対している。「資格を持ちながら働いていない日本人で十分労働力を確保できる」との考えからだ。

 日本看護協会の楠本万里子常任理事は「夜勤が続く過重な労働のために働けない潜在看護師は約55万人いる。短時間勤務や夏休みを取るなど働きやすい職場作りを優先すれば、人手不足は解消できる」と話す。

 日本介護福祉士会の石橋真二会長も「報酬を上げてやりがいのある職場にすれば、国内で人手は確保できる」という。

 日本語の読み書きに対する不安もある。楠本常任理事は「医療事故で看護記録が証拠になることもある。日本語能力を十分に身につけられる仕組みを関係機関に要望したい」。

 石橋会長も「認知症や障害がありコミュニケーションが取れない人のしぐさや動作から、その人の意図をくみ取って介護にあたることができるだろうか」と不安を口にした。
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