大阪市に住む中国残留孤児2世の兄弟が、電器店で品物を盗もうとしたとして窃盗未遂罪で大阪地検から起訴されていたことがわかった。兄弟は、9日にあっ た大阪地裁の初公判で起訴事実を認めた。兄は被告人質問で、3年前に残留孤児の母や妻子を連れて来日したが、日本語がうまく話せないなどの理由で定職に就 けず、「生活に困って犯行に及んだ」と述べた。兄の弁護人は「日本語習得の公的支援が充実していれば犯罪は防げたかもしれない」と指摘している。
起訴されたのは無職の兄(41)と工員の弟(38)。兄弟は8月12日朝、自宅近くの電器店駐車場に置いてあったモーターとコンデンサー計4台(約25万円相当)を転売目的で盗もうとしたとされる。
検察側の冒頭陳述によると、兄弟の母は日本人で戦時中に旧満州(現・中国東北部)へ移住した。03年、母が日本政府に残留孤児と認定さ れ、兄弟も日本国籍を取得。翌年、父母や妻子と来日し、工場アルバイトや廃品回収などの仕事を転々としたが定職に就けず、盗みに及んだという。
中国で中学校教師だったという兄は、弁護側の被告人質問で「わが子の将来を考えて来日したが、日本語が下手だという理由でなかなか雇ってもらえなかった」と述べた。パート収入で支えてきた妻も証人尋問に「夫は職場で『中国人だ』などと言われ、苦しんできた」と証言した。
永住帰国した残留孤児と2世には、大阪市東淀川区と埼玉県所沢市にある「中国帰国者定着促進センター」で日本語や生活習慣を半年にわたっ て学ぶなどの公的支援があるが、十分習熟できないケースも多いとされる。弁護人によると、兄弟もそんな境遇に陥っていたという。支援団体「大阪中国帰国者 センター」の竹川英幸理事長は「事件は残念だ。2世の多くが言葉の壁に悩んでおり、働きながら学べる環境整備が急務だ」と話す。
●●コメント●●
残留孤児の件
0 件のコメント:
コメントを投稿