日本の大学へ優秀な人材を大量に送り出す高校がある。
中国東北部(旧満州)の瀋陽にある東北育才外国語学校の進学実績がすごい。1998年9月に開校した高校で、日本に留学した1期生215人中、ほぼ6割 の127人が大学院へ進んだ。しかも東大14人、京大9人、東京工業大16人、早大13人など、著名な大学がずらりと並ぶ。進学以外も、日本や中国の一流 企業への就職や、日本以外の国への留学を果たしている。
瀋陽のエリート校「東北育才学校」と京都にある日本語学校「関西語言学院」が合同で設立。2002年からは中学も併設された。
1学年約200人で、その約6割が日本語を学んでいる。「教育と青年の交流は、日中友好の将来に大きく影響する」。葛朝鼎(かつちょうてい)校長(68)が日本語教育に力を入れる理由を説明した。
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授業は午前7時40分から始まる。午後6時からは先生も指導してくれる「自習」がある。夜も教室は開放され、勉強に使うことができる。「40分間 ある昼寝と、体育が息抜きの時間」(教員)だ。中学1年からの英語に加え、3年から日本語か仏語を第二外国語として週8コマ受ける。その結果、高校卒業時 には留学が可能なレベルになるという。
「日本は政治も経済もレベルが高い。まじめな態度も学びたい」「高い技術の建築を勉強して建築家になりたい」と集まった高校生たちは、次々に流暢 (りゅうちょう)な日本語で夢を語った。「日本も中国もマスコミを通じて一方的な情報が増えて誤解が生じている。留学して日本人の友達を作り文化を尊重し て理解していきたい」と抱負を語る生徒もいた。
学費は年約1万元(約16万円)と、一般的な大学と比較して2倍もするが、通ってくる多くは普通の家庭の生徒だという。日本は留学生にアルバイトを認めている点も利点で、「親に負担をかけたくない」と多くの生徒が働きながら学校に通う覚悟だ。
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中国から来日する私費留学生の多くは、日本語教育機関で1〜2年間、日本語を学習、大学受験に必要な日本留学試験や日本語能力試験を受けて進学する。
しかし、東北育才外国語学校から日本留学する卒業生のほとんどは、基礎が出来ているため、関西語言学院に進んで、半年のうちに大学進学を果たすという。
同学院の松尾英孝学院長(58)には、「将来の日中友好のために政財学界のトップに立つ人材を育てる」という信念がある。東北育才学校以外の進学 校も精力的に回り、大学3校も含む24校と提携して毎年300人以上の優秀な生徒を獲得している。「大量の優秀な中国人学生を刺激にして、日本の大学や学 生も成長してほしい」と願う。
日本語学校に通う就学生や大学・専門学校に通う留学生の不法就労や犯罪は大きな社会問題になり、入国審査が厳格化。日本語学校の中国人学生は03年度の4万2729人から05年度に2万5860人まで減った。
一般の日本人が抱くようになった悪い印象の中国人学生とは全く違う人たちが増えていることに注目したい。(野口賢志、写真も)
日本語学校の入学資格 国際交流基金や日本国際教育支援協会が行う日本語能力試験で4級以上の認定、自国で 150時間以上の日本語学習を示す証明書などが必要。さらに学校は、高校卒業統一試験などの成績を求めるが、こうした証明書などの偽造が中国人学生に横行 したため、昨年から中国の政府機関が直接、学校に送付する仕組みを始める対策をとった。
●●コメント●●
日本語学校の生徒は減る一方だが留学で日本を目指す中国の若者は多い。人材は中国で専門を持っていて日本語を勉強する大卒と高校卒業生と2分化しているようだ
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