中国 警備員230万人に、雇用難など表面化も
公安部の統計によると、中国の警備会社数が現時点で約2,300社に達していることが分かった。警備員 数は計230万人を超え、すでに警察官を上回る規模。2005年比では125.2%増となっており、オフィスビルや高級住宅の建築ラッシュなどを背景に、 急速に需要が拡大していることが分かる。ただ一方で関連規定の未整備も問題化しているほか、このところの労働力不足を受けた雇用難などがここでも起きてい ることも明らかになっており、市場の今後は楽観視できないのも現状。日系メーカーなども警備員を雇用する機会は多いだけに、警備市場の現状を知っておく必 要はありそうだ。昨年に警備員が身柄を確保した容疑者は全国で合わせて16万2,000人。公安当局に寄せられた治安関連情報は22万2,000件で、警備員が取り戻した経済損失は前年比9.6%増の20億5,000万元に上るとされる。
ただ治安維持への貢献がみられる一方で、警備員自身による犯罪行為が取りざたされる一面もある。なかでもここ数年で問題化しているのが、住宅におけ る警備員の住民への暴力行為。中国人民大学が2001~05年にかけて北京の住宅地約100カ所を対象に行った調査によると、管理側と住民の間で衝突が あった住宅地は全体の80%。うち37%が「警備員による暴力行為があった」と回答している。
規定間の矛盾公安関係者は、00年に公安部が交付した関連規定と、03年に建設部が交付した関連規定の間に矛盾があることが問題の背景にあると指摘する。公安部 の規定では警備会社の設立について、公安関連機関のみが行えると明記しているのに対し、建設部の規定は物件の管理会社が自由に警備員を雇用できるとしてお り、警備員が問題を起こした場合の責任の所在はあいまいなのが実情。また雇用に際しても明確な規定はなく、結果として訓練などを受けないまま、身体能力だ けで採用されているケースも多いという。
一部には昨年10月までに上海市で警備員20万人を対象に調査を行った結果、正式な訓練を受けた人材はうち20%にも満たなかったとのデータもあ る。人材の水準は玉石混合といえ、関係者の間には当局に対し、警備員の雇用に対する登録制の導入や責任所在の明確化、ほか問題のあった人材や企業の“ブ ラックリスト”作成など、早急な関連法案の整備を求める声も挙がっている。昨年に何らかの事件に巻き込まれて死亡した警備員は全国で67人。ほか負傷者も6,679人に上るなど、リスクをともなうことから警備員の離職率は 高い。加えてここ数年の出稼ぎ労働者不足を受け、なり手は急速に不足しつつあるのも実情だ。北京の警備会社関係者は「年初に雇用した300人のうち、現在 も残っているのは70人強」とため息をつく。
公安当局の調査によると、全国の警備会社の警備員の平均賃金は月600元程度。また半数以上が養老保険、医療保険、失業保険などに加入していないこ とも明らかになっており、求職者の間に「リスクの割に賃金は低い」との印象があるのも実情のようだ。北京など都市部には賃金月1,000元以上、かつ各種 保険や宿舎の提供などを行っている企業もあるものの、それでも離職率は20%以上とされる。今後は人材の確保と育成、また待遇の改善をいかにして行ってい くかがカギとなりそうだ。昨年の警備会社の営業収入は前年比17.5%増の102億3,000万元規模。市場が急速な拡大を続けるなか、関連規定の未整備と人材不足、また監 督・管理能力の不足などがここにきて表面化した形といえる。当局主導での市場の整理整頓を求める意見は改めて強まりつつあり、なかには市場開放による外資 誘致などを提唱する声も上がっている。治安維持にも直接関係する問題だけに、今後は当局のかじ取りにも注目が集まりそうだ。<全国>NNA ASIA
中国国内の警備員の人材不足。どう教育していくかが鍵となる。
0 件のコメント:
コメントを投稿