2009-05-15

就活持久戦 企業はじっくり「質重視の一本釣り」

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昨年までの超売り手市場から一転した大学生の就職戦線。景気後退の影響で、多くの企業が採用を抑えている。学生や大学からは焦りや不安の声が漏れるが、企業側は人材を厳選しているとみられ、今年の戦線は長期化しそうな気配だ。

 大型連休に入ったばかりの先月27日。スーツ姿の学生が名古屋市内で開かれた会社説明会に集まった。

 「20社ほど受けたが全然だめ。面接に行く会社も減ってきて…」。愛知県内の女子学生(21)は、面接スケジュールの空欄が目立つ手帳に不安げだ。別の女子学生(21)は「友達と『不景気だからしょうがない』って慰め合う。たった1年なのに、大きな違い」とため息をついた。

 主催したリクルートによると、製造業が採用を抑える今が逆に好機だと、初めて出展した観光関連会社もあったが、それでも「出展数は少なく、去年の同時期の6割ほど」と言う。

 昨年11月に出版された「就活のバカヤロー」の著者、大沢仁さん(35)は「昨年までの採用は『(大量に捕る)トロール漁船』だったが、今年は『(質重視の)一本釣り』に近い」と話す。

 就職情報サイトや企業のホームページでは、採用人数を明かさない企業が目立つ。一方で、面接の回数を増やすなど人材をじっくり選ぶ傾向にあるという。その結果「昨年より1カ月ほど内定の時期が遅くなっている」と大沢さん。

 就活の長期化と、採用枠の減少は、学生を支援する大学側にも影を落とす。

 金城学院大(名古屋市守山区)キャリア支援センターによると、大学にきた求人票は、3月末時点で昨年より150件少ない1478件。原田望課長は「ひと言で言えば厳しい。でも『厳しい』と言うだけでは学生が余計に不安になる。今まで以上にきめ細かい指導が必要」と話す。

 ただ、今回はバブル崩壊後の1990年代後半から2000年代初頭にかけての「就職氷河期」のようにはならないと、リクルートは分析する。

 同社が独自に算出した求人倍率は、昨年の2・14倍から0・52ポイント下がったが、それでも希望者数が求人総数を上回った2000年春卒(0・99倍)と比べれば、まだかなり高い。

 大沢さんは「まだ前回の氷河期ほど厳しくはない。就活のテクニックよりも企業を見抜く目が問われる」と指摘。「隠れた優良企業はたくさんある。ネット情報だけに頼らず、新聞やビジネス誌に目を通し、企業研究を怠らないことが成功の鍵だ」とエールを送る。

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