2007-07-13

インドの成功に学ぶ中国ソフト産業 について

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インドの成功に学ぶ中国ソフト産業

世界のソフトウエア産業において、市場規模と競争力の上で、これまでも、また今後も、長期間にわたって米国がトップに立つことは間違いないだろう。 それに続く国はどこか?というと、どうやらインドということになりそうだ。インドのソフトウエア産業はこの数十年で飛躍的に成長し、すでに世界第2位の地 位を確実なものにしている。

中国はインドと同じく第三世界に属し、ソフトウエア産業の発展でもスタートは同じだった。しかし現在、中国のソフトウエア産業はインドに比べて明ら かに立ち遅れている。2000年、中国のソフトウエアと情報サービス産業の売上高は550億人民元(うちソフトウエアは230億人民元)、約66億米ドル であり、同年の世界ソフト市場におけるシェアは1.12%、ソフトウエア製品の輸出額は約4億米ドルだった。しかし、この数字は同期間のインドのソフト輸 出額のわずか10%であり、近年、この差はさらに拡大する傾向にある。

インドは海外志向、アウトソーシング主体

インドのソフト・情報サービス産業は、国内需要に限りがあることから国際市場をターゲットとする海外志向型産業で、アウトソーシングサービスを主体 とする。同国は1980年から現在まで、ソフトウエア輸出では20年余りの歴史を持っている。現在、インドのソフトおよびITアウトソーシングは世界 100余りの国と地域に提供されており、うち米国向け輸出が60%を占める。その他の英語圏市場でも重要な位置にある。

1991/92〜2001/02年度の10年間、ソフト産業の年間平均成長率は45%を維持し、インドはソフト大国、ITアウトソーシング大国へと 成長した。現在、ソフトおよび関連サービス企業は3000社近く、就業人口は50万人を超える。なかでも上位10社の多くが1万人以上の従業員を抱えてお り、最大手では4万人に迫る。企業の利益率はいずれも20%以上だ。

インドのソフト産業が依然、欧米のアウトソーシングのみに頼っていると考えているのなら、それは過去の姿しか見ていないということだ。将来に向け て、インドのソフト産業は価格連鎖の川上へと進出する準備を整えている。大手ソフト企業は、北米市場で、多くのアプリケーション分野で競争力を持つソ リューションのサプライヤーとみなされている。中には米国の主要コンサルティング会社と競合する企業もあり、経験とコア技術を蓄積している。また、ソフト ウエア市場へ進出を開始した企業もある。プロセス管理と品質コントロールの分野でのインド企業の経験は業界も認めるところだ。

インドのソフトウエア会社にはいくつかの特徴がある。

一つには顧客の多くが大企業だということだ。世界の中心である北米および欧州市場にターゲットを定め、米GM、米ボーイングなどの著名大企業を顧客 に抱えている。二つめは企業規模が大きいことだ。従業員数5000人以上が16社、1万人以上も6社を数える。また、海外に進出している企業も多く、そう した企業の支社や事務所は欧米各国に100以上ある。

三つめは成長スピードの速さだ。大手企業の中には1人当たり生産額が5万米ドル近くに達するものもあり、1万人近い従業員を抱える規模でありながら 平均40〜70%という年間成長率を維持している。この5年間の年間成長率は平均56%に達する。四つめには管理能力の高さが挙げられる。大手ソフト企業 の契約に基づくプロジェクト完成率は96%以上、トップベンダーの一つであるウィプロでは99.3%に達する。納期、品質、コストに対するマネジメント力 は非常に高いといえるだろう。

インドに比べれば、中国のソフトウエア輸出は低迷している。世界市場に占める比率は1999年時点で1%、2006年になっても輸出額は49億人民元で、比率は3.55%にとどまっている。このため、世界市場における地位も低いままだ。

ソフトウエアのアウトソーシングサービス業の分布は、世界的に見てインドとアイルランドの比率が最も大きく、主な発注元は米国と西ヨーロッパだ。

インドのソフトウエア輸出の多くはアウトソーシング受託によるもので、国内市場の需要は非常に小さい。一方、中国のソフトウエア輸出は組み込みソフ トが主体で、アウトソーシングの受託はほんの一部にすぎない。また、国内市場は非常に大きく、潜在力はさらに期待できる。しかし、人材、インフラ、高等教 育機関の数、知的財産権や特許などあらゆる分野で、インドは中国をしのいでいる。

ただし、ここ数年は中国のソフト輸出およびITアウトソーシング受託も急速に成長している。特に組み込みソフトは飛躍的な伸びを示している。例えば 遼寧省のIT企業、大連華信計算機技術有限公司は、2004年に自動車用の組み込みソフトの開発をスタートさせた。同社は2年余りにわたって日本のカーエ レクトロニクス向けにソフト開発を進めるなかで技術を吸収し、経験を積んだ。プロジェクトの委託開発からスタートして技術を吸収し、現在では自社開発でき るまでに成長し、技術導入、消化吸収、自社開発という3ステップの戦略を実現した。

大連華信は今では、Linuxを基盤とするリアルタイム組み込みOS(RTOS)、組み込み用超小型データベース、ハイブリッド制御など、自動車エ ンジンの電子制御組み込みシステムの中核技術を保有するまでになった。国際的な自動車メーカーの工場移転ニーズが大幅に高まる中、エンジンの電子制御組み 込みシステム製品の需要も増え、中国の輸出の拡大を促進している。訳注:「2007中国ソフトウエア自主イノベーション報告」は、「2007年中国ソフトウエア自主イノベーションフォーラム・中国ソフトウエア自主イノベーション報告発表会」(6月21日、21世紀経済報道と中国国際ソフトウエア・情報サービス交易会の共催)の報告集日経BPネット

21世紀経済

http://www.nanfangdaily.com.cn/jj/20070711/


●●コメント●●

参考をするものの模倣はしない中国のソフトウェア産業はインドとの格差が広がっていくだろうというレポート。

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