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経済連携協定(EPA)に基づき、日本で介護福祉士と看護師を目指すインドネシア人二百五人が先日来日した。来年には全国各地の老人ホームや病院で、介護職員や看護師助手として働き始める。介護・医療現場での初めての本格的な外国人労働力だ。
介護職は四年、看護職は三年以内に日本の国家試験に挑む。不合格の場合は帰国しなければならない。
労働力の「使い捨て」で終わるのか、それとも将来の現場を支える戦力となるのか。受け入れ施設も含めて、日本の支援体制も問われよう。
厚生労働省によると、二〇二五年度の要介護者は七百八十万人になる見込み。〇六年度の一・七倍に増え、介護労働者も新たに四十万―六十万人が必要だと試算する。
一方で介護現場は離職率が二割以上と高い。重労働の割に報酬が少ないことなどが原因だ。医療現場も同様で、資格を持っているのに働いていない「潜在介護士」や「潜在看護師」が多い。
いくら募集しても職員が確保できない施設が増える中、労働力を海外に求めるのはやむを得ない状況といえる。
来日したインドネシア人は全員が同国内の看護師資格を持っている。とはいえ、給与は日本の十分の一程度。日本人職員と同等の給与が保証されている今回の制度は、彼らにとっても大きな魅力に違いない。
問題は彼らが定着できるかどうかだ。まず言葉の壁があり、生活文化や宗教観の相違もある。もちろん日本の国家試験は難関だ。
受け入れ先は三十四都府県の百施設。県内の二つの特別養護老人ホームも一人ずつ受け入れる。施設側は彼らが働きながら試験に合格できるよう研修を積ませる。費用負担も小さくない。トラブル時の対応などでは、国や自治体も積極的に支援すべきだ。
外国人労働者としては、すでに研修・技能実習制度で来日した研修・実習生が造船やタオル業などで働いている。企業にとっては貴重な戦力だが、一方で低賃金での単純労働が問題化している。
今回派遣された人たちを、同様に「安い労働力」と見てはならない。
国家試験に合格できなくても「高度な医療技術を学び、本国での仕事に生かしたい」と話す人も多い。待遇面などで、彼らを失望させることのないように望みたい。
同時に、彼らを受け入れることで、日本人職員の労働条件が悪化することのないようにすべきだ。人手不足に拍車がかかるばかりだ。
介護士、看護師候補者の受け入れは今後、フィリピンやベトナム、タイにも広がる見通しだ。制度の成否をアジア諸国が注目している。
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