人材サービス業界で、日雇い派遣の原則禁止を見越した動きが活発化してきた。業界大手のグッドウィル・グループ(GWG)は31日で日雇い派遣から 完全に撤退。同業のフルキャストも、中長期の人材派遣に軸足を移すのに躍起だ。一方で、日雇い派遣に代わる新ビジネスに乗り出す企業も出始めている。
「これ以上、規制を強化されたら、日雇い派遣はどっちにしても限界だった」
GWG関係者は、子会社の日雇い派遣大手グッドウィル廃業の背景に、政府の規制強化があったことを認める。
廃業を決めた6月には、舛添厚生労働相が日雇い派遣を原則禁止する考えを表明。その後、与党も同様な方針を打ち出した。このため、GWGは、技術者派遣を中核に再建を進める。
グッドウィルに並ぶ業界大手のフルキャストもすでに、中長期の派遣契約への移行を進め、日雇い派遣は全派遣契約の2割程度だ。だが、日雇い派遣の イメージが強く、「舛添発言」以降、株価は65%も急落している。このため、7月28日には、今秋をめどに純粋持ち株会社に移行する方針を発表。技術者派 遣やオフィス派遣などの事業を日雇い派遣と同格扱いにすることで、「イメージを刷新したい」(幹部)という。
日雇い派遣の縮小で、派遣に代わる新たなサービスを提供する企業も出てきた。
「アルバイトを集めたいが、どうすればいいのか」。人材会社インテリジェンスには、グッドウィルの廃業決定以降、引っ越し業者や家電量販店など約40社から、そんな相談が相次いでいる。
どの企業も、日雇い派遣頼みだったので、バイトの採用ノウハウがない。そこで、インテリジェンスは、企業がパソコンに必要なバイトの求人情報を入力するだけで、学生らに人気の求人サイトに広告を載せられるシステムを売り込むという。
働く側にも「1日単位で働きたい」というニーズがあるため、リクルートは7月28日、30日以内の短期バイト用サイトを新設。利用者が「働きたい 日」から仕事を検索でき、翌日や当日の仕事は、全地球測位システム(GPS)機能を使い、バイト先の近くにいる登録者に携帯メールで配信をする。今年度中 に求人広告を常時3千件掲載できるサイトにしたいという。
1日単位でアルバイトを雇う際、課題となるのがバイト代の日払い事務の煩雑さだ。
東京都民銀行では、勤務データを会社と共有することでバイトの翌日には給料を引き出せるサービスを提供。「日払いに代わる制度として使いたい」という企業もあり、すでに約200社と契約した。(福間大介、松浦祐子)
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