人材派遣大手のグッドウィル・グループの子会社で日雇い派遣最大手だったグッドウィル(東京都)が31日、廃業した。違法な二重派遣で派遣事業の許 可が取り消される見通しになり、事業継続を断念した。日雇い派遣は、原則禁止に向けた法改正論議に発展し、派遣先企業は日雇い派遣からアルバイトなど直接 雇用へ切り替えを始めているが、人材確保をめぐって不安を訴える声もある。【望月麻紀、小倉祥徳】
グッドウィルの従業員は、大半が退職を余儀なくされた。登録スタッフ約6000人は、約6割が派遣先企業に雇用されたり別の派遣会社に移籍した。
日雇い派遣で業界2位だったフルキャストは、1カ月以内の短期派遣から1カ月超の長期派遣に営業活動の比重を移し、売り上げの7割を占めていた短 期は4割に減った。それでも、日雇い派遣は、業務に繁閑の差が激しい運送業や外食、イベント会社などから「根強い需要がある」(広報担当者)という。派遣 料は一般に、アルバイトの時給より高いが、求人広告や人材選びなどを派遣会社が請け負ってきたため、企業の利点は大きかった。
企業は、運送大手の日本通運や外食チェーンの吉野家ホールディングスなどが、日雇い派遣からアルバイトなどへ切り替えを進めている。しかし、「ア ルバイトの募集だけでは足りなくて、日雇い派遣を利用してきた。引っ越しが集中する3~4月は足りるかどうか分からない」(日本通運)と不安をにじませ る。中小企業は深刻で、東京都練馬区の運送会社社長(56)は「ガソリン代も高騰し、求人コストも上がれば経営できない」と語る。
一方、日雇い派遣は、低賃金と不安定な雇用形態で「ワーキングプア」の温床とされてきた。
野村証券金融経済研究所の和田理都子エコノミストは「人口減少で今後、外国人労働者が増えるようになると、企業が便利に使ってきた短期労働者はさらなる『負け組』になってしまう。労働者がキャリアを積めるよう雇用環境を見直す必要がある」と語る。
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