2008-08-19

育てIT人材:中学高校生、大学生が合宿で熱い議論

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IT(情報技術)に優れた若者を発掘するため、中、高、大学生らが合宿してトレーニングを受ける「セ キュリティー&プログラミングキャンプ」(主催:情報処理推進機構、情報処理開発協会)が13日~17日まで千葉市内で開かれた。全国から46人の若者が 参加し、講義やグループ実習などハードスケジュールをこなした。ハイテク犯罪に詳しい東京地検の大橋充直検事の講演もあり、「情報漏えいを防いで、私の仕 事を楽にしてほしい」と語りかけた。【岡礼子】

 カリキュラムはプログラミングコースとセキュリティーコースに分かれ、セキュリティーコースでは、「ウェブアプリケーションを脆弱性から守れる か」「Winnyの問題点」「災害時の復旧計画」についてグループごとに意見をまとめる実習が行われた。プログラミングコースでは、ゲームソフトの製作や ブラウザー「Firefox」に他のサイトの更新情報を自動的に表示するソフトに取り組んだ。

 「無線が飛ぶ範囲を狭くしたら」「家庭で使うのに、そんなに高額な機器を使うの?」。無線LANのセキュリティーを学ぶ講座では「ニンテンドー DSとノートパソコンを無線で安全に使うには」という課題が出され、参加者が議論した。直前の実習で、無線LANでやり取りしている情報が、外部から簡単 に見えることを体感したばかりで、議論は白熱する。

 結局2案をひねり出したが、講師の根津研介さん(NTTデータ先端技術)は「それでは簡単に外から侵入できる」と辛口で、「LANの中だと思って いてはだめ。インターネット上だと思えばファイアーウォールをかける」と指摘。「(2001年の)同時多発テロの時、もし自分のパソコンから航空機を操作 されていたら生きていられないと思った。想像力を持って最悪の事態を考えて」とアドバイスした。

 大橋検事の講演では、ネットいじめや情報漏えいで被害者、加害者とも自殺者が出ている現状を解説。情報漏えいを防ぐには「外付けメディアに注意す る」「家族でPCを共用しない」などが重要だと分析。「父親がセキュリティソフト入れても子供がはずす。逆もある。公務員の情報漏えいの原因の多くはこれ (パソコンの共用)だ」と話した。

 指導する講師陣22人の多くはセキュリティー技術の専門家。キャンプ実行委員長でセキュリティーサービス「ラック」元社長の三輪信雄・綜合警備保 障参与は「日本のトップクラスが集っているが、(国内にいるのは)これでほぼ全員だ」と、セキュリティー業界の人材不足を嘆く。

 キャンプは、学習だけでなく、人脈形成の場にもなっている。一流の講師と知り合えるだけではない。キャンプの参加は1回限りのため、かつて受講し た高校生、大学生を中心に、専門の道に進みつつあるチューター13人が、参加者の身近な相談相手になる。05年にキャンプに参加した瀧崎芳枝さん(21) は06、07年とチューターを務めてセキュリティー研究者の道に進み、今年は講師になった。「他の講師はすごい方ばかりだが、私は参加者の目線で教えた」 と、キャンプの先輩ならではのメリットを生かす。

 また、同年代の仲間も作れる。プログラミングのコースに都内から参加した中学3年生の原将己さんは、キャンプに参加して一番良かったのは「(同じ中3の)酒井翼君に出会えたこと」と話した。

 三輪参与は「ITの仕事は、弁護士や医者と違って(子供たちが)目にする機会がない。キャンプは進路を考える場になり、参加者が目標を持ってくれれば」と期待していた。

2008年8月18日


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