2009-06-24

公立高入試もペーパーテスト重視へ 千葉で見直し

:::引用:::
千葉県教育委員会は、 2011(平成23)年度から県立高校入試の制度を大きく変えることを決めました。どの選抜方法においても、5教科のペーパーテストを課すとしています。公立高校入試をめぐっては、これまで全国的に多様な選抜方法が行われてきましたが、近年は見直しのなかで学力検査の結果を重視する傾向が出てきており、千葉県のケースはその象徴的な事例と言えるかもしれません。

千葉県では2003(平成15)年度以来、「特色ある入学者選抜」(特色化選抜、2月上旬の1日)と、「学力検査等による入学者選抜」(2月末の2日間)の2本立てで、県立高校入試を行ってきました。このうち特色化選抜は、「面接」「作文」「適性検査」「学校独自問題」などから一つ以上を各学校が選んで実施するもので(いずれの場合も中学校の調査書は評価の対象)、募集定員のうち10~50%を充てることができました。

しかし、同県教委によると、課題が二つあったといいます。一つは、私学合格者と特色化選抜合格者を合わせると、約7割の生徒が2月中旬までに入学する高校が決まってしまうため、3学期の教育活動に影響が出てしまうこと。もう一つが、「中学生の学力低下が懸念され」るということです。

新しい入試制度では、「前期選抜」(2月中旬、2日間)、「後期選抜」(3月上旬、1日間)という2本立てに改めます。受験の機会が2回ある、ということに変わりはないのですが、前・後期とも5教科の学力検査を課すことにしました。前期ではさらに面接や集団討論、適性検査などの多様な方法を一つ以上実施して、普通科は定員の30~60%、専門学科や総合学科では50~80%を選抜するとしています。

公立高校入試に関しては、「偏差値偏重」「過度の受験競争」が問題となった1990年代に、当時の文部省主導により「選抜方法の多様化」「選抜尺度の多元化」が、各都道府県で進められました。それにより、推薦入学を拡大したり、学力検査を課さない選抜方法を取り入れたりすることが、全国的に広がったのです。

ただ、当時と今とでは、事情が違っています。国公私立を通じて高校の入学者数は89(平成元)年度まで増え続けましたが、その後は急速な減少に転じ、今では約114万3,000人と、ピーク時(約193万1,000人)の6割程度に減りました。しかし、高校の数は約5%に当たる270校ほどしか減っていません。学級減などで定員を少しずつ減らしているとはいえ、全体としては過熱化どころか、相当入りやすくなっているわけです。そのうえ、ペーパーテストを課さないというのでは、なかなか勉強する気が起きないのは仕方のないことでしょう。

もちろん都道府県によって経緯や状況は違いますが、全国的に学力向上が求められるなかで、今後も公立高校入試でペーパーテストを重視する傾向が、いっそう強まることが予想されます。
●●コメント●●

0 件のコメント: