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非正規雇用の拡大に歯止め
厚生労働省は、「日雇い派遣」の原則禁止など派遣労働への規制を強化する方向で検討に入った。
1986年に労働者派遣法が施行されて以来、対象事業や期間などで緩和される一方だった同法の強化は初めてである。
労働行政は180度転換する。
一部には「多様な働き方を望む人の雇用機会を奪う」として規制強化への慎重論もある。
しかし、やむなく派遣やアルバイトで働き、辛うじて生計を維持する非正規労働者の不満や不安を解消すべきだとする考え方が主流になりつつある。
非正規雇用の拡大に歯止めをかけるのは当然で、むしろ遅すぎた感も強い。
■企業労務を批判する■
国内の派遣労働者の数は320万人とされる。その人たちは約5万2千ある人材派遣事業所に登録、あるいは雇われてさまざまな企業に派遣されている。
厚労省はこの問題を検討してきた有識者会議の報告を受け、厚労相の諮問機関である労働政策審議会の場で労使双方に公益代表を交えて詳細を詰める。次の臨時国会に改正案を提出する予定という。
1日も早く、実施するとともに、企業にも非正規労働者の待遇改善や正社員化などワーキングプア根絶に向けた努力を促したい。
有識者会議の報告は「派遣労働はあくまで一時的な労働力需給調整手段」との位置付けを再確認した上で、人件費抑制のため正社員を派遣に置き換えようとする企業の労務政策を批判している。
その上で、特に30日以内の超短期の雇用契約を繰り返す「日雇い派遣」については、十分な雇用管理がしにくいことや、危険な作業に従事させられるケースが多いことなど「あまりに多くの問題が生じている」として、原則禁止するよう提言した。
■「偽装」の処分不十分■
さらに、この報告では系列各社を対象にした人材派遣会社を設立する「もっぱら派遣」についても法の網をかぶせ、グループ企業への派遣は8割までという上限を設けるように提言した。
しかし、常用雇用に近い上、正社員を派遣会社に転籍させ、その際に雇用条件を切り下げる手段に使われているという実情を考えれば、禁止あるいは上限をもっと下げるべきだろう。
派遣先での採用時の事前面接や最長3年を超える受け入れ、建設や港湾運送など禁止されている業種への派遣、そうした制約を免れるための「偽装派遣」といった違法行為に対し、現在の派遣元、派遣先企業への処分は不十分だ。
日雇い派遣大手のグッドウィルのように、処分を受ける前に自主廃業すれば、あらためて事業認可を申請する道も残っている。
そうした抜け道を封じるためには、派遣労働者からの情報収集ルートを整備し、派遣会社の免許・登録取り消しといった処分を速やかに行う仕組みが必要だ。
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