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急速な円高を海外旅行の需要喚起につなげようと旅行各社は躍起になっている。円高に対応して、海外パッケージ商品の値下げや低価格ツアーの開発・販売に相 次いで乗り出した。景気悪化懸念で冷え込む消費マインドに加え、燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)の上昇で不振が続く海外旅行の起爆剤になると期待し ている。
◆韓国向け絶好調
日本政府観光局(JNTO)によると、2008年1~9月の累計日本人出国者数は前年同期比6.4%減の1215万人。日本旅行業協会(JATA)が 10月22日にまとめた大手6社の海外パッケージツアーの申し込み状況も、11月発は前年同月比9.8%減、12月発は4.4%減と前年割れに歯止めがか からない。
その中で円高が進行。韓国向けは円高ウォン安の影響で日本人旅行者数が伸びている。大手6社の申し込み状況も、11月発は12.5%増、12月発は68.3%増と絶好調だ。
サーチャージがそれほど高くないことや、週末だけで旅行できる近さもあって、韓国で買い物を楽しむ人が増えているのだという。
とはいえ、好調な渡航先は一部で、全体の需要を押し上げるまでの効果はない。景気悪化懸念から所得の落ち込みを気にして財布のひもが固くなっているからで、「円高だから海外旅行に行く人が増えるという経済状況ではない」のが旅行業界の大方の見方だ。
そこで、「旅行に行くなら今がチャンス」を大々的にアピールし海外旅行客を増やそうというのが、円高還元商品の開発や既存商品の値下げの狙いだ。
JTBは、通信販売のパッケージ商品「旅物語」で、09年1~2月出発の欧州方面全24コースを一律1万円値下げした。たとえば、1月4日出発のドイツ5日間のツアーは10万9800円(燃油サーチャージは除く)。アジア方面の一部コースも同程度値下げする。
阪急交通社は、パッケージ旅行商品「トラピックス(海外)」で新たに「円高還元特別企画」を開発。ハワイ5日間のツアーを10万円均一で、オーストラリア6日間を15万9800円均一で売り出した。
通常価格よりハワイは2万円程度、オーストラリアは格安航空会社のジェットスターを利用することで3万円程度安く設定した。
「オーストラリアは2日間で約40人の予約があり、手応えを感じている」(阪急阪神交通社ホールディングス広報部)という。11月中に成田国際空港発着で8コース設定する計画で、関西国際空港、中部国際空港発なども投入する予定だ。
◆訪日外国人には影
海外旅行の代金は、半年に1度のパンフレット作製時に決まる。このため、為替変動に合わせて旅行代金を変えることは通常ない。旅行代金の大部分を占める 航空機代は円建てで決済しているうえ、ホテルの仕入れ価格も確定しており、円高に振れたからといって即座に旅行代金に還元できるわけではない。
逆に、円高還元といって値下げしたり、キャンペーン価格商品を設定しても、思惑通りに旅行者数が増えなければ旅行会社の収益を圧迫することになる。
一方、円高はこれまで順調に伸びてきた日本を訪れる外国人旅行客に影を落とす。
JNTOによると、9月の訪日者数は前年同月比6.9%減の64万1500人となり、2カ月連続で減少した。なかでも、好調だった韓国人旅行客は20.8%と大幅に減少した。旅行各社の新たな収益源として期待が大きかっただけに、今後の動向が懸念される。(門倉千賀子)
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2008-11-05
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