【ソウル=水沼啓子】米ドル急落の余波で韓国ウォンも下落、逆に円が上昇する中、韓国を訪問する日本人観光客が急増している。ソウル市内のホテルや免税店は、日本人観光客による“ウォン安特需”でにぎわっている。
このところの急激な円高、ウォン安で、昨年10月には1万円を韓国ウォンに両替すると8万ウォンほどだったのが、いまはほぼ2倍近い15万ウォン近くを手にすることができる。この“お得感”を楽しもうと、日本人観光客が増えている。
10月末の時点で阪急交通社(本社・大阪市)の韓国観光の予約状況は、対前年比で11月115%、12月156%と急増。広報担当者は「韓国は近いことも あって間際にならないと予約が入らなかったのに、ウォン安のおかげで今は早い時期から予約が殺到するという状況。年末にかけて今後ますます伸びるのでは」 と見込んでいる。
日本人宿泊客が多いソウル市内のコリアナホテルも、11月の予約状況は前年比10%以上のアップという。ホテルの中には、12月まで日本人観光客の予約でいっぱいという所もある。
韓国観光公社によると、ウォン安になった9月に訪韓した日本人観光客は約19万3000人で前年比4・8%増となった。また、昨年1年間に韓国を訪れた日本人観光客の総数は約220万人だったが、今年は250万人を目標にしている。
韓国観光公社の申瑞京課長は「もっとたくさんの日本人観光客を呼び込むため、ウォン安のいまが韓国旅行に最適ということを前面に打ち出したキャンペーンを来年2月まで展開する」と意気込んでいる。
ソウル市内の観光地はもちろん、免税店も日本人観光客であふれている。ロッテ免税店では、9月の売り上げが昨年と比べて50%増という。ウォン安がさらに進んだ10月は売り上げをさらに伸ばしたとみられる。
福岡県前原市から夫婦でソウルを訪れた青木清一さん(74)は、「日本円をウォンに替えたらお札がすごく増えたので、何だか金持ちになった気分。ちょうどいい時期に来られてよかった」と顔をほころばせた。
一方、円高の余波で、逆に日本を訪問する韓国人観光客は減っている。日本政府観光局ソウル事務所によると、9月は昨年と比べて約2割減という。谷博子所長 は「10月はウォンがさらに安くなったのでもう少し減るかもしれない。海外旅行を扱う韓国内の旅行社は予約がなかなか入らず厳しいようだ」と話した。
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