2008-11-04

韓国【社説】労使政の大妥協が切実

:::引用:::
与党ハンナラ党が労使政の大妥協に向けた「全国民協議体」の構成を提案した。続いて野党・民主党も「失業大乱」の克服に必要な社会的機構の設置を呼びかけている。

名称は異なるものの、両党いずれも昨今の経済危機を国民の和合を通じて克服しようというもので、望ましい。韓国は労使政の団結を通し て国難を克服した経験を持つ。通貨危機直後の98年2月に発足した労使政委員会は、整理解雇の条件緩和など90項目にのぼる経済危機克服策を打ち出し、実 践に移すことで国際社会での信頼回復に寄与した。

今回迎えた危機は10年前に劣らない。国際社会の連携で金融危機はひとまず落ち着いたものの、実体経済の低迷が待っている。90年 代末に比べて家計負債の割合が高く、非正社員や零細企業など脆弱階層が急増した韓国の立場からすれば、失業と所得減少による衝撃はもっと大きくなるはず だ。

こうした状況で労使政が社会的な合意を実現させるべきことは多い。景気低迷による大規模な失業問題を解決することが最も急がれる。その要諦は「苦痛の分担」しかない。そのためには労使政がともに頭を悩ませ、お互い何を譲歩してどう実践すべきか模索する必要がある。

足元の火を消しつつ、成長過程の慢性的な障害も取り除いていかなければならない。外国人の投資を妨げる破壊的な労使関係を終息させる 案を見いだし、非正社員や格差問題など社会への波及力が大きいものの企業レベルでは論じにくい諸懸案に対する国民の意見を聴取するのも必要だ。

国難克服に向けた社会的な協議体がきちんと機能するためには、各界各層が加わらなければならない。労使政委員会から抜け出して強硬 な労働運動に集中してきた全国民主労働組合総連盟はこの際、社会的協議体に必ず復帰すべきだ。そうすることで、労働界の一つの軸として国難の打開に率先す る姿を見せなければならない。

経営者側と各市民団体も、これまで労使政委員会に見せてきた冷笑的な態度をやめて、危機克服に必要な知恵を出すことを望む。特に政界はさまざまな社会構成員の参加と和合を導き出す中心に立つべきだ。国民的な和合の場を政争に利用しようとして考えてはならない。

危機はチャンスでもある。今回の金融危機が収まれば、世界経済の秩序が再編される可能性が高い。相対的に堅実な財政と躍動的な国民性を持っている韓国にとっては、先進国入りを繰り上げる絶好のチャンスとなり得る。

80年代半ばに深刻な景気低迷でモラトリアムの危機に直面したアイルランドは、労使政はもちろん、自治体、農民、市民団体まで加わる 国家経済社会委員会を作り、危機を突破した。協力的な労使関係づくりで外国人の投資が殺到し、経済は沈滞から抜け出し、88年に1万ドルにすぎなかった1 人当たりの国民所得が06年には4万5000ドルに増えた。

韓国戦争(1950~53年)を乗り越え、漢江(ハンガン)の奇跡を成し遂げた韓国がアイルランドに劣る理由はない。いま最も必要とされるのは「苦痛に耐えて、より大きな果実を獲得する」という覚悟を決めることだ。
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